ラッセル、ポーパシングの危険性を改めて訴える「重大な事故に繋がるのは時間の問題」

 

 今季開幕から激しいポーパシングに苦しめられているメルセデス勢。アゼルバイジャンGPでもこれまで以上に激しい上下動に見舞われているが、同チームのドライバーであるジョージ・ラッセルは、これが重大な事故を引き起こすのは「時間の問題」であると危惧している。
 今季からF1マシンは、レギュレーションの変更により、ダウンフォースの大部分をグラウンド・エフェクト効果によって生み出す形となった。そのため程度の差はあれ、いずれのチームもポーパシングやバウンシングという現象に悩まされている。これはフロア下で発生するダウンフォースが、マシンの車高が変わることなどにより増減してしまうことで、マシンが上下動を繰り返してしまうもので、ドライバーの頭を揺さぶり、乗り心地を極端に悪くしてしまう。
 この問題は、2.2kmにも及ぶ長い全開区間があるアゼルバイジャンでは、これまで以上に増幅されることになった。
 これについてドライバーたちは、ただ厄介なだけではなく、安全上の問題に繋がるのではないかと指摘。今後何年もの間この問題に直面し続けても大丈夫なのかという懸念を示した。
 金曜日に行なわれたドライバーズ・ブリーフィングでも、チームがそれぞれ問題を解決するべきなのか、それともFIAが介入する必要があるのかということについて、話し合いが持たれた。
 この問題に最も苦しんでいるチームであるメルセデスのラッセルは、高速コースでこのバウンシングが原因で大きなクラッシュが起きるのは時間の問題だと語った。
「大きな事故が発生するのは、時間の問題だと思う」
 アゼルバイジャンGPの予選終了後、ラッセルはそう語った。
「僕らのほとんどが、今回のコースにあるようなバンプの上で、マシンを真っ直ぐに走らすのにも苦労している。最後のふたつのコーナーは、300km/hで駆け抜け、その時にマシンの底が路面を打ってしまう。その時、マシンがどれだけ地面に近いところを走っているのかは見て分かると思う」
「F2も同じ立場にある。彼らも、同じような哲学で走らせているからね。でもそれは、普段の生活では少し不必要な技術じゃないかと思う。路面から数ミリしか離れていない場所で、300km/h以上でF1マシンを走らせる必要なんてないんじゃないかと思えたんだ」
 ラッセルは、F1は現在のテクニカルレギュレーションを再考するべきだと考えているようだ。
「これは大惨事を生み出そうとしているようなモノだ。将来どうなるかは本当に分からない。でもこのレギュレーションを3年間、あるいはこのレギュレーションをどれだけ長く施行したとしても、それが維持できるとは思わない」
「僕らはチームとしては、それに大いに賛同しているというわけじゃない。僕らは毎レース、マシンについてレースごとに学んでいるし、レギュレーションが変更されてしまうとその学びが制限されてしまうからね」
「上位3チームが同じ立場にあると思う。フェラーリはおそらく、レッドブル以上にそう考えているだろう。彼らは本当に苦労しているように見えるからね。パフォーマンス向上のために、それ(レギュレーションの変更)をしたいと思っている人は誰もいない。それは単に、安全上のモノなんだ」
「僕の場合、バウンシングしてしまうので、ブレーキングゾーンはほとんど見えない。最終コーナーを回ると、両側には300km/hで流れていく壁があり、マシンは上下に激しくバウンドするんだ」
「それはあまり快適なモノではないから、グループ全体として考え直す必要があると思う。この状況は間違いなく危険だ」
 
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