F1チームの予算上限額、インフレに伴う引き上げが決定……しかしレッドブル代表「十分な額じゃない」

 

 F1オーストリアGPの金曜日朝にF1委員会が行なわれ、最近のインフレに対応するために、予算制限額が調整されることが決定された。
 F1参戦中の各チームは今シーズン、予算の上限額が1億4000万ドル(約190億円)に制限。ただ今シーズンは22レースが組まれているため、120万ドル上乗せされた1億4120万ドル(約192億円)までを使うことができることになっていた。しかし世界中でインフレが加速、さらに輸送費や光熱費が高騰していることもあり、複数のチームがコスト制限の緩和を要求。その結果、当初の予算上限額の3.1%がインフレ調整として加算されることが決まった。これにより今シーズンの各チームの予算上限額は、1億4550万ドル(約198億円)ということになる。
 ただレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、3.1%予算制限を引き上げても、大きなチームにとっては十分ではないと語る。
「それで十分だろうか? 今日のインフレとは、対応していない」
 そうホーナー代表は語った。
「我々にとっては十分ではない。そして小さなチームにとっては多すぎる。だからこれは妥協点だ。最終的に、総意が見つかったのだ」
「我々はまだ、できる限りのことをしなければならないだろう」
 現在の規則では、全10チーム中8チームが賛成しなければ、3.1%の予算調整は適応されない。しかし今季は最終的に、9チームが予算額を調整することに賛同した。
 唯一反対したのはアルピーヌであり、チーム代表のオットマー・サフナウアーは議論が始まった当初から、予算額に調整を加えることに反対してきた。
「我々は、このスポーツを統治するためにも、今回のことを受け入れなければいけない」
 そうサフナウアー代表は語った。
「8チームが賛成票を投じ、この案が承認された。そして今、これは新しいルールになった。我々はそれに従わなければいけない」
「シーズンの途中でレギュレーションを変更しようとするのは簡単ではない。FIAはこれについて、妥協だと考えていた。
 ただサフナウアー代表は「(予算上限を)変えるべきではなかった」とも語り、完全には納得していない様子も滲ませた。
 アルファロメオも、当初は予算上限の変更に難色を示していたチームだ。しかし最終的には、変更を支持する立場に回った。
「取り決めを見つけることが重要だと思う」
 そうフレデリック・バスール代表はmotorsport.comに語る。
「取り決めというのは、常に妥協であるとも言える。もし誰もが満足していたり、誰もが満足していなかったりしたら、それは良い取り決めだということだ」
「最終的には我々は前進し、解決策を見つける必要がある。現状は誰にとっても大変なのだ」
 ハースも、チームが用意していた予算額は、上限額を下回っていたものの、今回の引き上げ策を指示した。
「良い妥協点というのは、多くの人が満足していない状況にするということだ。我々はそれを達成したんだ!」
 ハースのギュンター・シュタイナー代表はそう語った。
「それは妥協であり、結論を出さなければならなかった。ずっとこんな話し合いを続けているわけにはいかないからね」
「ある段階で解決策を見つける必要があったあ。十分な時間話し合ってきた。だから、先に進める必要があるんだ」
 なお2023年の予算上限額にも、変更が加えられる可能性がある。
 そもそも2023年の予算上限額は、1億3500万ドル(約184億円)になるはずだった。ただ24戦が予定されているため、そのグランプリ開催数に合わせて360万ドルが追加され、1億3860万ドル(約189億円)の予定である。ここに今季同様インフレの調整率3.1%が加算されると、1億4290万ドル(約194億円)になるという計算が成り立つことになる。
 しかしこれが2023年の最終的な金額になるわけではない。FIAは、2023年4月の時点で、G7(世界主要7ヵ国首脳会議)の数値に基づいて、インフレ率の再調整を行なう予定となっている。
※日本円換算は、2022年7月9日現在の為替レートに基づいて行ないました。
 
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