【動画】現代モータースポーツに欠かせないシミュレーター。その作業内容、必須条件をアルピーヌF1が解説

 

 年々重要度を増すシミュレーター作業において必要とされるものは何なのか、アルピーヌF1のシミュレーターチームを率いるベン・モーガンと、シミュレータードライバーのジョーダン・キングが動画で語った。

 近年マクラーレンやフェラーリが相次いで新たな設備を導入するなど、F1におけるシミュレーターの重要度は高まり続けている。現実世界での走行時間に制約のある現代のモータースポーツでは、レースに向けたセットアップや新パーツのテストをシミュレーター上で行うことはもはや常識。シミュレーターはドライバーのトレーニングに有益なだけでなく、開発に必須のツールとなっているのだ。

 もちろん、レースで使えるレベルのデータを得るためには高い精度が求められる。アルピーヌのシミュレーターチーム代表であるモーガンは「ドライバーにとって可能な限りリアル」であり、「現実のマシンと同じ挙動をするモデル」を持ったシミュレーターの開発を目指しているという。

 これを実現するためにチームは、実際のマシンに取り付けられた「数え切れないくらい多くのセンサー」から得たデータをもとに、シミュレーションと現実の差を限界まで小さくしている。彼らは路面温度や風向きなど、実際のレースと同じコンディションを再現しながら、テストを進めていく。

 さらにドライバーに対しては、ステアリングのフォースフィードバックや、シャシーの動作、5つのプロジェクターを用いたハイレゾ映像によって、できるだけ実車に近いフィーリングを与えることも重要だ。シミュレーターではGを感じさせることができないが、「手や眼を通してできるだけ多くの情報を伝えてくれる」とドライバーのキングは言う。

ステアリングのフォースフィードバックやプロジェクターなどを用いてドライバーに情報を伝えるシミュレーター
ステアリングのフォースフィードバックやプロジェクターなどを用いてドライバーに情報を伝えるシミュレーター

 高い完成度を誇るアルピーヌのシミュレーターだが、作業においてはハード面だけでなくそれを操るドライバーも重要なことは言うまでもない。それでは、シミュレータードライバーに必要な能力とは何なのだろうか。モーガンとキングが口を揃えて言うのが「一貫性」だ。

 シミュレーター作業はセッティングや燃料の搭載量など、条件を細かく変更しながら進められる。ここであってはならないのが、ドライバーの走りにブレが生じることだ。データの変化が設定の変更によるものなのか、ドライビングによるものなのか分からなくなるからだ。

 とはいえ、これはあくまで原則の話。キングによると、彼はときにレギュラードライバーであるエステバン・オコンやフェルナンド・アロンソのドライビングの癖をコピーし、あえて違う走らせ方をすることもあるという。シミュレータードライバーに求められるのはあくまでも「現実に忠実であること」だと彼は言う。

 サーキットでの走行の機会が制限される一方で、F1における開発スピードは高まり続けている。これを支えているのがシミュレーターの技術であり、それを操るドライバーのテクニックなのだ。

■Going behind the scenes to take a look at our simulator

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