F1の伝統を守ろうとしていないと批判を受けた首脳陣。ドメニカリCEOは「F1の魂は売っていない」と否定
F1がサウジアラビア、マイアミ、ラスベガスといった新サーキットでレースをすることで、スパ・フランコルシャンなどの由緒ある会場がカレンダーから除外される可能性があるが、F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリは、F1の利益よりも金銭を優先するものではないと主張している。
近年カレンダーには多くの新コースが追加され、シーズンごとにレース開催数が増加している。来年のカレンダーは史上初の24戦に達する見込みだ。F1でも最も象徴的なグランプリがスケジュールから外される可能性があることから、多くの人々が現在の経営陣はF1の伝統を十分に守ろうとしていないと論じている。
だがドメニカリは、そのことを否定している。
「私はF1の魂を売ることはしていない」とドメニカリはドイツの新聞『Bild』にきっぱりと語った。
「これは自然な変化だ。我々は全世界に向かって開いているのだ」
しかしながらドメニカリは、彼が下さなければならなかった一部の判断においては、必然的に金銭が要因になっていたことを認めた。
「お金はどこでも重要なことだ。我々にとってもそうだ。だがお金だけを見ているわけではない。パッケージ全体が適切なものでなければならない」
「我々が銀行口座だけを見ているとしたら、レースカレンダーは間違いなく違ったものになっていただろう」
すでにスケジュールから消えてしまった昔ながらのレースのひとつにドイツGPがある。1926年に初めて開催されたこのレースは1951年にFIAの選手権に加わり、同年にフェラーリから参戦したアルベルト・アスカリがニュルブルクリンクで優勝を飾った。それからのドイツGPは、1955年を除き、2007年まで毎年カレンダーに入っていた。2007年は一時的にヨーロッパGPに取って代わられたが、その後はニュルブルクリンクとホッケンハイムが交互にドイツGPを開催した。
ドイツGPが最後に開催されたのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝した2019年のことだ。それ以降、ドイツGP復活の話し合いは数多く行われたが、ほとんど成果はなかった。
今週ドメニカリは、ドイツGPはF1カレンダーに復帰する可能性は低く、同地での関心がないことを認めた。
「私の方が電話をしなければ、ほとんど見聞きすることがない」とドイツGP復活のチャンスについて尋ねられたドメニカリは答えた。「私は復活させたいと考えているが」
ドメニカリはF1の新たなキャンペーン『Drive it Out』についても話をしている。このキャンペーンは、先月のオーストリアGPでルイス・ハミルトン(メルセデス)を含むドライバーたちに向けた言葉および身体的ハラスメントが報告されたことを受け、F1における嫌がらせの問題に取り組むものだ。
「このことについては議論の余地も妥協もない」とドメニカリは『Sky Sports』に語った。
「誰もがすぐに受け入れたということは素晴らしいというメッセージになると思う」
「我々のスポーツの素晴らしいところは、そうしたことをコントロールできることだと言わずにはいられない。グランドスタンドに戻ると分かるが、多くの子供たちや家族連れがいる。さまざまなグループが混在しているのはいいことだ。それがF1が本当に見たいものだ」
「この世界に愚か者の居場所はない。もし誰かが悪意のある行動をしたら、我々の対応は非常に厳格なものになるだろう」
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