中上貴晶、痛みに耐えた日本GP予選は最下位も、決勝に向け前を向く「ファンの応援に感謝。期待に応えるため、歯を食いしばって頑張る」

 

 3年ぶりの母国GPを迎えた中上貴晶(LCRホンダ)。彼にとって日本GPの予選は厳しい結末となったが、それでもモビリティリゾートもてぎに詰めかけたファンの期待に応えるべく、決勝に向けて前を向く。
 中上はFP2までにトップ10圏内のタイムを残すことができず、予選はQ1からの出走となった。前戦アラゴンGPの決勝レース直後の転倒により、右手を負傷している状況の中上。患部は完調には程遠い状況でありながらも痛み止めを服用してこの週末に臨んでいる。
 ただ予選前にコンディションが悪化。直前に行なわれたMoto2クラスの予選Q2開始直後にサーキットは激しい雷雨に見舞われ、赤旗中断。これによりMotoGPクラスのFP3はキャンセルされ、各ライダーともぶっつけ本番といった形で予選に臨むことを強いられた。
 そして中上はQ1最初の計測ラップ、最終コーナーで転倒。これでマシンにダメージを負ったためピットに戻らざるを得ず、大きくタイムロス。スペアマシンに乗り換えてペースアップを目指すもそれは叶わず、予選を最下位で終えた。
「午前中はベストではなかったのですが、ある程度は走れていたので、予選前のセッションで調整して、予選に臨みたいなと思っていました。でここういうコンディションになって、いきなり予選という形になってしまいました」
 中上はセッション終了後にそう語った。
「安全性に関しては、問題ないコンディションだったと思います。でも、計測1周目に最終コーナーで転倒して、予定が狂ってしまいました。すぐにピットに戻れればよかったんですが、転倒した場所はもうピットレーンに向かえない場所だったので、結構タイムロスしてしまいました」
「残念な予選結果にはなりましたけど、手の怪我を悪化させなくてよかったと思います」
「転倒はかなり低いスピードでしたし、フロントが切り込み始める感覚もありました。だから、手を挟まずに済んでよかったです。転倒で怪我が悪化したことはないので、自分自身でもホッとしています」
 中上は初日は痛み止めを服用してた。しかしこの日は、痛み止めの注射を打たずに予選に臨んだという。
「今日は注射も打ちませんでした。明日(の決勝レース)は必ず出ると決めていますので、今日は少しセーブしておこうと思いました」
「今日使わない方が明日効くというか、そもそも丸3日間薬漬けというのは身体としても良くありませんからね。セッションも最終的にFP3がなくなったり、時間もどんどんズレていったので、ドクターと話しをして、打つのはやめましょうということにしました」
「今日は一旦痛みとの戦いでした。明日もそうだと思いますが、薬の力を借りて、ファンの皆さんの声援で背中を押してもらって、明日走り切りたいと思います。明日は追い上げるしかありませんからね。そして楽しめればと思っています」
 怪我のため、厳しい状況で母国GPを迎えた中上。しかしそれでも、ファンの期待に応える走りをしたいと、決勝を見据える。
「アラゴンが終わった時点で、望んでいたような日本GPではなくなってしまいました。最悪の場合には棄権しなければいけませんでしたが、それは避けられました。それだけでもミラクルですが、しっかり走り切りたいと思っています」
 そう中上は語る。
「もちろん集中していますし、3年ぶりのもてぎというのももちろんプラスになります。そして当初は3日間雨かもしれない、台風かもしれないという予報だったのに、明日の決勝は結構良い予報に変わってきています。ドライで攻めた走りができた方がいいですし、やり切った、出し切ったと言えるレースをしたいと思います」
「母国で走るのは、痛みがある中でめちゃくちゃ心強いです。色々なところで日本の国旗や僕の旗を振ってくれています。日本の大きな国旗は、海外のレースでは見ることはないですが、ここではほぼ全てのコーナーで見られます」
「今日の最悪なコンディションの中でも、ファンのみなさんが残ってくれたのは嬉しい気持ちになりますし、期待に応えたいなというのが一番です。みんなの力を借りて、歯を食いしばって明日頑張りたいと思います」
 
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