レッドブル社新CEOがF1活動にもたらす影響。新人育成プログラムを担うマルコの引退が早まる可能性
レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、2022年F1最終戦アブダビGPの週末、「その気になれば、いつでもF1の世界から去ることができる」と発言した。同時に、現時点で引退する意向はないとも述べたマルコだが、レッドブル社の体制変更により、F1から去る日が早まる可能性はある。
現在79歳のマルコは、レッドブル社の創設者でありCEOを務めたディートリッヒ・マテシッツとの強いつながりの下で、長年、レッドブルのF1活動と若手育成プロジェクトを監督してきた。マテシッツ氏は今年の10月に死去し、レッドブル社の運営体制が変わり、飲料事業CEOフランツ・ワツラウィック、最高財務責任者CFOアレクサンダー・キルヒマイヤー、企業プロジェクトおよび投資担当CEOオリバー・ミンツラフの3人の取締役会が社を率いていくことになった。
マルコに近い関係者によると、F1およびその他スポーツプログラムの直接の責任者となるミンツラフとマルコの関係はあまり良好ではないという。
書類上、マルコの役割に変更はないが、ミンツラフはマテシッツほどは、マルコとレッドブル・レーシング代表クリスチャン・ホーナーに自律性を与えるつもりはないといわれる。マテシッツは、レッドブルとアルファタウリ/トロロッソ、若手ドライバープログラムの運営はマルコやホーナーに任せ、重要な問題に関してのみ介入、自分はレッドブル社の運営とマーケティングキャンペーンを成功させることに集中していた。
しかし、今回、レッドブル社にスポーツ活動面を監督する立場の役員が任命されたことで、状況に変化が出てくるだろう。オーストリアメディアによると、ミンツラフはレッドブルとポルシェの提携を望んでいたという。しかしマルコとホーナーは、体調の関係でマテシッツが意思決定プロセスに参加できない状況のなか、タイの株主に直接掛け合い、ポルシェとの契約を取りやめてしまった。これをミンツラフはよく思っていない。
マルコの「その気になれば、いつでもF1の世界から去ることができる」という発言は、マテシッツから認められていたような自主性を持って仕事ができるのでなければ、レッドブルのモータースポーツ関連の役割から退くという意志の表れとも取ることができる。
マルコが離脱した場合の影響は、ふたつのF1チームの運営よりも、若手育成プログラムに大きく表れるだろう。現在は、マルコが実質的にひとりでこのプログラムに当たり、有望な若手ドライバーを選んでいる。マルコの後任には才能発掘の能力のある、経験ある人物が必要だ。
候補のひとりと考えられるのは、現在アルファタウリの代表を務めるフランツ・トストだ。イタリア・ファエンツァに移り住んで17年のトストは、母国オーストリアに戻れる機会を喜ぶかもしれない。
積読本や購入予定の書籍の情報を投稿しています
小説/開発/F1&雑談アカウントは、フォロバを返す可能性が高いアカウントです