F1ドライバーの思想表明に制限。許可なく政治的、宗教的主張を示すことをFIAが禁止
FIAは国際モータースポーツ競技規則(ISC)において、F1を含む競技の場でドライバーたちが許可なく政治的、宗教的、個人的な主張を表明することを禁じる規定を組み込むことを決めた。
2023年1月1日に発効する国際モータースポーツ競技規則が12月19日に公表された。『規則違反』について記した第12.2条に『第12.2.1.n条』が追加されており、そこには規則違反事項として、次のように記されている。
「特にFIAがその定款に基づいて促進する中立性の一般原則に違反する、政治的、宗教的、個人的な声明またはコメントの一般的な行使と表示。ただし国際競技についてはFIA、国内競技においては関連するASNが事前に文書で承認した場合を除く」
この数年、ルイス・ハミルトンやセバスチャン・ベッテルが中心になり、レースウイークエンドに差別問題、環境問題などへの注意喚起を訴える行動が行われるようになった。
2020年5月に黒人男性ジョージ・フロイドが警察官による不適切な拘束によって死亡した事件から、抗議運動が起こり、全世界的に「ブラック・ライブズ・マター」運動が広がった。ハミルトンは、決勝前のセレモニーでこのスローガンを記したTシャツを着用し、片膝をつき、賛同するドライバーたちはこれに倣った。ハミルトンは2020年トスカーナGPでは、「ブレオナ・テイラーを殺した警官を逮捕せよ」という文字が入ったTシャツを着て表彰台に上った。その後、FIAは表彰式で非公式の衣類を身に着けることを禁じた。
ベッテルは2021年ハンガリーGPで同国の反LGBTQ法を批判し、レインボーカラーのTシャツを着用した。また、しばしばヘルメットに環境保護のメッセージを入れてアピールしている。
『The RACE』によると、FIAのスポークスパーソンは、ISCにおける今回の変更は、スポーツにおける政治的中立性を維持する目的でなされたと説明、FIAは多様性、包括性の向上に引き続き取り組んでいくと述べたということだ。
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