F1参戦目指すアンドレッティ・キャデラックとホンダの提携説が浮上「すでにPUサプライヤーと契約済み」とGM社長が発言
F1参戦を目指しているアンドレッティ・キャデラックが、既存のパワーユニット(PU)サプライヤーとの契約をすでに結んでいると明かした。具体的なメーカー名は伏せられているが、ゼネラルモーターズ(GM)とホンダが電気自動車の分野で提携関係を深めつつあることから、契約相手はホンダなのではないかという推測が持ち上がっている。
FIAが、F1に参入することを希望している者の確認・審査を行うため、参入(関心表明)プロセスの開始を検討していることが明らかになったことを受けて、1月5日、アンドレッティ・グローバルとGMは、『アンドレッティ・キャデラック』としてF1エントリーを目指すと発表した。
この発表に際し、GM社長マーク・ロイス氏は、アンドレッティ・キャデラックのF1参戦が承認された場合、同チームは最初は既存のサプライヤーからパワーユニットの提供を受け、後にGMの技術を投入していくと語った。
「まずはパワーユニット・サプライヤーとの契約を結んだ。その後、プロジェクトが進むなかで、将来に向けて創造を行うために我々が持つ多数の専門知識を投入する」
これまでは、アンドレッティはルノーからパワーユニットの提供を受ける見通しであると考えられてきた。だがGMと契約したことで、方向転換が行われた可能性がある。GMはホンダと電気自動車の分野で提携しており、その関係が拡大しつつある。2022年4月には、両社が、量販価格帯の新たなEVシリーズを共同開発することで合意したこと、次世代バッテリーに関する協業の深化について検討することなどが発表された。
このようなパートナーシップが存在することから考えて、GM/キャデラックが2026年以降の新世代パワーユニットを設計・開発する技術を持つパートナーを探すなかで、ホンダを頼ろうとすることは極めて論理的な動きと考えられる。
ロイスGM社長は、F1に関する記者会見のなかで、契約したパワーユニット・サプライヤーについて具体的に明かすことはなかった。ホンダについて聞かれたロイス氏は、こう答えている。
「ホンダとはEVの分野で大きなパートナーシップを結んでいる。一方で、インディカーなどのモータースポーツシリーズではホンダと競ってもいる。我々の間には自然な関係と尊敬の念があり、何ひとつ問題はない。だが、(F1の)エンジンの問題については、後日またお話しするつもりだ」
ホンダがアンドレッティ・キャデラックにパワーユニットを提供する契約が結ばれる場合、キャデラックが関連費用を負担するものと考えられ、ホンダは将来の市販車開発に関連する技術の開発を、極めて少ない予算で続けていくことができる可能性がある。
現在、ホンダ・レーシング(HRC)は、レッドブルのパワーユニット部門レッドブル・パワートレインズに技術支援を行っており、現契約の期間は2025年末までとなっている。HRCは、レースの研究を続けていくために、2026年以降のF1のパワーユニット製造者登録を行ったことを明らかにしているが、その際、HRCの渡辺康治社長は、このことがF1参戦に直結するわけではないと強調した。
ホンダがアンドレッティ・キャデラックにパワーユニットを提供することが決まった場合、レッドブルとの関係は2025年末で完全に終わることになるだろう。
レッドブルの新たな提携相手としては、フォードが候補としてうわさに上っている。フォードがレッドブル・パワートレインズに資金を提供し、そのワーユニットの名称にフォードブランドが使用されるという説だ。
フォードとレッドブルの提携が実現し、アンドレッティ・キャデラックのF1参戦が承認されれば、アメリカを拠点とするふたつのビッグブランドがF1で戦うことになり、アメリカでのF1人気がますます高まることになるだろう。それこそが、リバティ・メディアがF1の商業権を取得した時に掲げた大きな目標のひとつだった。
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