”F1の考え方”をWRCに導入? ヒョンデのアビテブール新代表、早くもチーム改善に動く

 

 かつてルノーF1などで活躍したシリル・アビテブールは、2023年からWRC(世界ラリー選手権)のヒョンデの代表に就任。ラリー・スウェーデンが2回目のWRCイベントとなったが、すでに改善すべき領域を特定し、動き出しているようだ。
 アビテブールの初期の主要目標のひとつは、チームのコミュニケーション、ドライバーとの関わり方、意思決定プロセスを改善することだ。キャリアの大半をF1で過ごしたアビテブールは、この分野でのF1スタイルのアプローチがWRCチームにとって有益だと考えている。
 アビテブールはラリー・スウェーデンに向けた変更が”革命”ではないとしながらも、彼のチームに対する長期的な野望は、ヒョンデのモータースポーツ全体の将来を評価しながら、エンジニアリングにもっと集中することだという。
「いつものようにふたつのスケジュールを並行して進める。短期的なものと即座に行なうものがある。だから今回からイベントでの運営方法をあちこちで変更するつもりだ」
「これは革命ではない。このチームには革命は必要ないし、率直に言って私の経験から有益な革命を起こせないはずだからだ」
「このように、あちこちに小さな変化があり、物事の進め方、関わり方、コミュニケーションの取り方、意思決定プロセスの構造などが変化している」
「F1では指揮系統がしっかりしており、わずかな時間で消化しなければならない情報量が多いのが印象的だ。F1とは少し違うが、F1からこの世界に移せるものもあるから、今週末はそれをやっていきたい」
「これは双方向のプロセスであり、そこから進めていくことになる」
「ドライバーは、メディア対応よりもエンジニアリングの仕事を多くすることになるかもしれない。ラリーの1日はとても長くて、ドライバーとの交流はほとんどないんだ。そしてセットアップに苦労して、自分たちがやったことに納得ができないままラリーを終えているのが現状なんだ」
「私の考えでは、エンジニアリングの観点からもっと強くなる必要がある。それがショーの中心になるだろう。もう少し、システマチックなやり方をしたいんだ」
「それから、ヒョンデ・モータースポーツとカスタマーレースの長期的な将来について考えなければならない。我々が何をしたいのかについて何度も話し合ってきたが、これらのことについて話すのは時期尚早だ」
 アビテブールは、副チームディレクターながら事実上のチーム代表として昨年チームを率いたジュリアン・モンセが、パワートレイン部門のトップに復帰することも認めている。
「昨年はエンジンとパワートレインがこのチームのアドバンテージだったが、今はそうではなさそうだ」とアビテブールは語った。
「しかし今年の開発戦略を立て、(ホモロゲーションの)ジョーカーを使う必要があるので、それについてもう少し知りたい」
「ジョーカーを使うには、自分たちがどこで苦戦しているかを理解する必要があり、それが今の私に欠けている情報だ」
「ジュリアンは以前、我々はエンジンで競争力を発揮していると言っていたが、そのカギを握っていたのは彼だったんだ。その点では、彼に脱帽だ。これはモータースポーツで、みんなが追いついてきているんだ。だから我々はそれらの面でトップを維持する必要がある」
「ジュリアンはエンジンの面でグループをリードし続けなければならないし、他にもいくつか話していることがある」
 
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