レッドブル&HRC密着:首位の座を取り戻した後はタイヤを懸念「決して楽に走っていたわけじゃない」とフェルスタッペン
F1第11戦イギリスGPでマックス・フェルスタッペンがポール・トゥ・ウインを飾り、第5戦マイアミGPからの連勝を『6』に伸ばした。1シーズン中の連勝記録としてはアルベルト・アスカリに並んで史上3位となった。
さらにチームとして、昨年の最終戦アブダビGPから続けていた連勝記録を『11』に伸ばした。これは1988年のマクラーレン・ホンダの開幕11連勝と並ぶ大記録だ。クリスチャン・ホーナー代表はこう言って、チームを称賛した
「チームにとって2012年以来のイギリスGP優勝、マックスのシルバーストンでの2勝目、そして我々にとって11連勝となった。これは1988年のマクラーレン・ホンダの11連勝と並ぶ特別な勝利だ。この偉業はドライバーや速いマシンだけでなく、高い信頼性や的確なストラテジーを講じるといったチーム全員の努力がなければ達成できなかった。それを達成したこのチームを私は誇りに感じている」
ホーナーが語るように、イギリスGPでのフェルスタッペンの勝利は、決して楽勝ではなかった。まず、スタートで出遅れ、いきなり2番手に後退してしまう。それでも、フェルスタッペンはポールポジションを獲得した速さを武器に5周目にランド・ノリス(マクラーレン)をオーバーテイク。
しかし、その後、なかなかノリスとの間にDRS圏外となる1秒以上のギャップを確実に築くことができないという状況が続いた。
フェルスタッペンがノリスを引き離し始めることができたのは、その差が2秒以上となった12周以降だった。
ところが、このとき、レッドブル&フェルスタッペン陣営には、別の懸念が浮上していた。それは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)の存在だった。
レース序盤、ラッセルは5番手を走行していたので、フェルスタッペンにとって優勝を争ううえでの敵ではなかった。レッドブル陣営が見ていたのは、ラッセルが履いていたタイヤだった。ラッセルは上位陣でただひとりソフトタイヤでスタートしていた。
レース前のピレリの想定ではソフトでスタートした場合、1回目のピットストップは11周目から17周目となり、2回ストップとなる予定だった。これに対して、ミディアムタイヤでスタートしていたフェルスタッペンの戦略は、ミディアムからハードへの1ストップだった。
ところが、予定の17周を過ぎてもラッセルがピットインしない。結局、ラッセルがピットインしたのは、想定を大幅に超えた28周目。ミディアムからハードに履き替える予定だったレッドブルは、迷った。
その直後、ケビン・マグヌッセン(ハース)がトラブルでコース上に止まって、セーフティーカーが出動。果たして、レッドブルは当初のミディアムからハードではなく、ソフトに履き替えるという戦略の変更を敢行する。
ホーナーはこう振り返る。
「ミディアム&ハードのレースになると予想していたが、ジョージのソフトでのパフォーマンスを見て、戦略を考え直した。再スタートでダッシュしてポジションをキープすることができたが、レース終盤はタイヤをマネージングしなければならなかった。それでもマックスはしっかりとやってのけた」
フェルスタッペンもこう語る。
「再スタートしてみると、わずか2周か3周で、この気温でタイヤをコントロールし続けるのはかなり難しいことに気づいた。そんなに接近されることはなかったけど、決して楽に走っていたわけじゃない。ハードタイヤを履くべきだったかもしれないから、それについてはこれからデータを見て、エンジニアと話し合う」
1988年のマクラーレン・ホンダは11連勝でストップした。35年を経て、歴史は繰り返されるのか。あるいはレッドブル・ホンダRBPTが記録を塗り替えるのか。その答えは、2週間後のハンガリーGPで出る。
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