F1 Topic:ホンダにだけ許された“開幕連勝記録”更新のチャンス「我々が足を引っ張らないようにしたい」

 

 前戦ハンガリーGPを制して、開幕11連勝を達成したホンダ。レース後、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、こう言ってホンダの偉業を讃えた。

「私は少年の頃、ロン・デニス率いる最強軍団のマクラーレン・ホンダがアイルトン・セナとアラン・プロストを擁して開幕11連勝を達成したのを見ていたことを覚えている。この勝利によって我々はその偉大な記録に並ぶこととなった。この記録は我々とパートナーを組むホンダがいかに優れた集団かを示している。なぜなら、彼らは1988年に大記録を打ち立て、35年という時を経て、再び開幕11連勝を達成した。それはF1界ではホンダだけ。彼らと仕事できることを誇りに思う」

 しかし、ハンガリーGPを終えた段階で、ホンダのスタッフに安堵の様子は見られなかった。レッドブルでホンダ・レーシング(HRC)のチーフメカニックを務めている吉野誠はこう語る。

「正直、ホッとしました。ここまで記録を重ねてきて、万が一、パワーユニットが原因でそれを止めてしまったら、大変なことになる。いつも万全を期しているんですが、レースは何が起きるかわからない。しかも、我々はレッドブルと常に話し合いを行い、パフォーマンスを最大限出すために、信頼性はギリギリのところで戦っているので、気が抜けないレースの連続でした。ハンガリーGPを勝って、HRC Sakuraからは『記録を更新したね』という人もいれば、『並びましたね』という人もいました。私たちにとっては、先輩たちの記録は開幕からの連勝記録なので、次のベルギーGPで勝って、開幕連勝記録を更新したい。やっとここまで来た。あと1レース、我々が足を引っ張らないようにしたい」

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HRCのチーフメカニックを務める吉野誠

 またトラックサイドゼネラルマネージャーとして現場を統率する折原伸太郎も次のようにベルギーGPへの抱負を語った。

「今シーズンここまで、パワーユニットが足を引っ張らずに、しっかりと信頼性を上げていることを見せられてホッとしています。信頼性に関しては昨年から今年にかけて、国際自動車連盟(FIA)に申請したうえでアップデートしてきたことがしっかりと結果を出してくれている。さらにチームとコミュニケーションを図りながら、対策していることもこの連勝につながっている。2チームで走らせていて、何かトラブルの兆候を発見した場合はまずハードウェアでの対策を考え、それが間に合わないような状況になれば、走り方、使い方で制限を入れてもらい、制御系のアップデートを行います。それで問題が出ないことを確認した上で、限界まで使用してもらうことになります。したがって、チームとのコミュニケーションはとても重要です」

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現場を統率するトラックサイドゼネラルマネージャーの折原伸太郎

 その瞬間をHRC Sakuraで見守るのが、武石伊久雄HRC四輪レース開発部部長だ。今シーズン4月から前任の浅木泰昭から引き継いで開発を統率している武石は、大記録を前に次のように抱負を語っている。

「先輩が作った記録を自分たちで塗り替えていきたい。先輩たちに、ここまで来たぜということを見せるいいチャンス。バッチリと決めたいと思います」

 果たして、開幕12連勝はなるか。第13戦ベルギーGPは雨のなかで、セッションがスタートしている。

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HRCの四輪レース開発部部長を務める武石伊久雄(右からふたり目)

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