F1第15戦木曜会見:「まだやり残したことがある」迷わず現役続行を望んだハミルトン。チームとの交渉で互いに自信

 

 F1第15戦イタリアGP木曜日のドライバー会見では、メルセデスと2025年末までの契約延長が発表されたばかりのルイス・ハミルトンに質問が集中。「他のドライバーにも、話させなよ」と、ハミルトンからたしなめられるほどだった。

Q:ルイス、契約延長おめでとう。
ルイス・ハミルトン:このチームとこれからも一緒にいられるなんて、これ以上うれしいことはない。僕たちはずっと、信じられないような旅をしてきた。そしてまだやり残したことがある。トップに戻るために、やるべきことはたくさんある

Q:続けるかどうか迷ったことは?
ハミルトン:いや、絶対に続けたかった。去年は確かに、難しい年だった。今年もスタートで出遅れたものの、今はコンストラクターズ選手権で2位につけている。困難を乗り越えてここまで成し遂げた僕とチームのことを、本当に誇りに思っているよ

Q:契約の交渉で、あなたを納得させるためにチーム側はどんなことを言ったのですか?
ハミルトン:特別なことじゃない。すべての部門の責任者が一堂に会して、自分たちの現状や犯した過ち、なぜそのような決断を下したのか、なぜ二度と同じことを繰り返さないのか、そして自分たちがどこへ向かっているのかについて、これまで以上に語り合った。その結果、僕たちは団結し、時間が与えられたらあるべき姿に到達することができるのだと、お互いに自信を持つことができた

Q:40歳を過ぎてもレースをすることは想像もつかなかったし、魅力も感じなかったとあなたが言っていたのは、それほど昔のことではありません。自分の長寿に驚いていますか? これほど長く続けてこられたことに、驚いている?
ハミルトン:今の年齢になっても続けていられること、何よりこれほど(レースを)好きでいられるとは思ってもみなかった。それは信じられないほど、ありがたいことだよ。多くの人は同じ仕事や役割に長期間とどまり、その仕事が好きではなくなっても、それしかできないから続けているだろうからね。クルマに乗るのが好きで、仲間たちとレースをするのも好きだ。ガレージのみんな、チームのみんなと一緒にどん底を味わい、一緒に最高を味わう、あの感覚がたまらなく好きなんだ

 担当エンジニアのピーター・ボニントンとは、ハミルトンがメルセデスに2013年に移籍して以来の相棒だ。これだけ長い組み合わせは、F1史上最長と思われる。そしてその関係は、今後も続くという。

Q:ボノとは、あと2年やりますか?
ハミルトン:不動だよ。エンジニアとドライバーのコンビがこれほど長く続いたことはなかったと思う。僕たちは今後も、記録を更新するんだ

2023年F1第15戦イタリアGP FIA会見
2023年F1第15戦イタリアGP FIA会見 左からアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、エステバン・オコン(アルピーヌ)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、角田裕毅(アルファタウリ)

Q:現在38歳のルイスは、新しい契約が終わるとき40歳になっています。他の4人のドライバーは、40歳になってもレースを続けるというシナリオを想像できますか?
角田裕毅:僕にはまだ17年もあるから、全然想像できないですね。もちろんその時も現役でいられたら、素晴らしいことだと思います。40歳になって、自分の目標である世界チャンピオンになれたら、もっとうれしいだろうけど。でもそれと同時に、レース以外で自分のやりたいこともやりたいしね。レストランを持つのも、いいかもしれない

オスカー・ピアストリ:僕はあと18年だ。もし40歳になってもレーシングカーに乗り続けていて、自分のやっていることが好きなら、それは人生のなかでかなり有意義な18年間だと思う。だからルイスのような成功を手にしたとき、彼がレースを依然として愛していられる理由は想像できる。もちろん、上に行けば行くほどプレッシャーは大きくなるし、他の仕事との兼ね合いも出てくるだろうけど

エステバン・オコン:時が経つのは早いけど、幸い僕はまだ若い。このふたりと比べたら、そんなに若くはないけど

ハミルトン:何歳だっけ?

オコン:26歳。2週間後には27歳だけど。もしかして、年の割りに老けて見えるって言いたい? ルイスはすごく若く見えるし、スキンケアの方法を教えてほしい(笑)。40歳になったとき、自分がどうなっているかはわからないけど、今も1週間レーシングカーの運転から離れていると、何かを失ったような気がする。アドレナリンを取り戻して、あの興奮を取り戻したいと思うんだ。情熱的というか、とにかく運転が大好きなんだ。僕のこれからの人生も、きっとそうなんだと思う

ルイス・ハミルトン(メルセデス)&エステバン・オコン(アルピーヌ)
2023年F1第15戦イタリアGP FIA会見 ルイス・ハミルトン(メルセデス)&エステバン・オコン(アルピーヌ)

アレクサンダー・アルボン:僕もみんなと同じような感じだ。ただ40歳までF1にいられるというのは、現実的には並外れた、世代を超えた才能がないと無理だと思う。もちろん40歳まで続けたいけど、普通はそうはならない。長い間F1を走り続けていると、身体への負担もハンパじゃないしね。今もトップ争いを続けるルイスの心のなかには、激しい炎が燃え続けているんだ

 通算103勝、104回のポールポジションをはじめ、F1のほとんどの記録を塗り替え、勝ちまくってきたハミルトン。なのに今もレースへの情熱はいささかも衰えず、アルボンのいうように「心のなかには、激しい炎が燃え続けている」。それこそがハミルトンという不世出のF1ドライバーの、本当の凄さかもしれない。

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