レッドブル&HRC密着:ただひとり“別次元”の走りを披露したフェルスタッペン。後続を0.5秒引き離し10回目のポール
F1第17戦日本GP土曜日。この日のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の走りをライバルたちは「別次元だった」と評した。それほど、土曜日のフェルスタッペンは速かった。
土曜日の鈴鹿サーキットは、やや難しいコンディションのなかで、フリー走行3回目がスタートした。金曜日の夜に雨が降ったために、走行ラインのラバーが流されて、路面がグリーン(走りはじめの状態)になったからだ。さらに前線が遠ざかって青空が広がったことで、北西から吹き付ける秋風が、ドライバーたちを苦しめていた。
路面がグリーンになったためにリヤタイヤのオーバーヒートに悩まされ、さらにデグナーのふたつ目やヘアピン、そして最終コーナーの立ち上がりで追い風を受けるからだ。予選Q1の最終コーナーでのローガン・サージェント(ウイリアムズ)のクラッシュは、まさにその典型だった。
そんななかで、土曜日にひとりだけ、まるでレールの上に乗って移動しているかのように走行していたのが、フェルスタッペンだった。フリー走行3回目の時点で、フェルスタッペンは2番手以下にコンマ3秒以上の差をつけ、万全の体制で予選に臨んだ。
Q1を1セットのみの新品ソフトタイヤでトップで通過したフェルスタッペンは、Q2はあえて中古のソフトタイヤを使用。ライバル勢が新品のソフトタイヤを2セット投入するなか、それでも2番手で通過した。
Q3で新品のソフトタイヤを2セット残していたのは、フェルスタッペンとマクラーレン勢のふたりのみ。この時点でポールポジション争いはこの3人に絞られた。1回目のアタックで暫定ポールポジションの座をつかんだのは、フェルスタッペン。逆転ポールポジションを狙って、マクラーレン勢の2台が2度目のアタックに出るも、2台とも自己ベストを更新できないなか、最も路面コンディションが良好となる最後のアタックで、ラップタイムをまとめ上げたのがフェルスタッペンだった。自らの暫定ポールタイムを更新する1分28秒877は、2番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を0.581秒引き離す驚速タイムだった。
そのタイムに驚いたのは、ライバルだけではない。フェルスタッペンが所属するレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう語った。
「今日、我々は特別なものを目撃した。マックスは別次元だった。Q3のアタックは信じられないようなパフォーマンスだった。最終ラップのリプレイを見てほしい。ターン5と6、そして高速セクションでのマックスの走りは本当に見事で、脱帽するしかない」
それはフェルスタッペン本人も同様だった。
「クルマの調子がいいと、サーキットがより特別なものに感じられる。今日、僕は特別な気分だった」
予選よりもレースペースのほうが優れている今年のレッドブルのマシン、RB19。日曜日のレースでフェルスタッペンがどんな走りを披露するのか。怖いくらい楽しみである。
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