【お便りコーナー】第136回: 粉雪先生

 

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である粉雪先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、粉雪先生よりいただきました文面となります。

こんにちは、錬金術師ネリアと魔術師の杖をめぐるお話、『魔術師の杖』シリーズ(https://izuminovels.jp/series/cat/neria/)を連載しています、粉雪と申します。

 おかげさまで『魔術師の杖⑦ ネリアと魔術師レオポルド』が、いずみノベルズ様より6月30日発売です。(https://izuminovels.jp/isbn-9784295601920/)なんと短編集も制作決定!

 魔術師レオポルドがついに主役に躍りでる第7巻、冬の王都と王城での茶会、グレンとレイメリアの出会いから父と子の別れまでを綴った過去編、そして物語のスタート地点デーダス荒野に、ネリアとレオポルドが向かいます。試し読み部分は書き下ろしです、ぜひチェックしてみてください!

 応援してくださる読者様、ともに励まし合って創作を続けられている作者様に、この場を借りて篤く御礼申しあげます。誤字報告戦隊の皆様にも大感謝です、こないだもいずみノベルズの新人作家さんが「うひゃあ??」と言ってましたよ!

 さて今回は『100万字を超える長編の書籍化を成功させるには』というお話。

『魔術師の杖』はとても地味な作品です。今も「見つけた人が読んでくれればいいや」という気持ちで、なろうの隅っこで書いています。

【出版はギャンブル??】

 先日、『魔術師の杖』でお世話になっている、いずみノベルズの編集長とお話しました。

「粉雪さん、本が発売したあと編集者にも作家にも、できることはとても少ないんですよ」

 そんなことをおっしゃっていました。

「どの作品もキラリと光るものを感じるから書籍化します。けれど売れるかは担当者にも分かりません。世に出してみて初めて結果が分かります」

 なるほど。

 だから本が完成してしまえばそこで編集者の仕事は終わり。また『次の本』を目指して走りだしていく……それが性なのだな、と感じました。

 商業出版は残酷なまでに結果がでる。面白い作品、優れた作品が売れるとは限らない。逆に時流にマッチしてドンと売れることもある。だからひたすら数を打つ。

 ギャンブルじゃん!

 その時は7巻校了前の最終チェック中ということもあり、話はそこで終わったのですが、私の中でひっかかりを感じました。

 本当にできることはない?

 この感覚は出版社だけでなく作家さんにもあり、一作書きあげてまた次の作品に走りだしていく、数打って当たれば続編がでる……そうやっておられる方は多いです。

【どうやったら楽しめる?】

 書籍化のお話があったとき、連載はちょうど3巻収載分まできたところでした。

 さて、どうしよう。

 このとき私はなろうで書き始めて半年ほどの初心者で、ラノベ界の常識や出版の事情などまったく知りませんでした。

「メインの魔術師が表紙に登場するのは5巻にしよう!」

 1巻はヒロインのネリアが表紙です。5巻までシリーズが続かないと、肝心の魔術師は表紙に出てきません。

(よしっ、5巻を目標に頑張るぞ!)

 単純にそう決め、書籍化でなろうの読者さんも楽しめるような工夫ができないか考えました。私が考えたのは『書籍と連載の内容をリンクさせる』です。

 たとえば魔術学園の生徒たちが活躍する2巻の発売時、なろうでは再び彼らが登場してひと騒動起こします。5巻の時、なろうでは時間軸が過去にふれ、主役の青年にとって母にあたる女性が、表紙と同じように舞踏会に登場します。これはリアルタイムで連載を追っていないと分かりません。

 なんだかんだで『更新を待つ』というのはしんどいので、なろうの読者さんが報われるようにと考えた仕掛けです。読者さんにとっては復習になり、逆に本から入って続きを読みにくる方は、彼らの『未来』や『過去』を知って時間旅行をしたような気分になる。

 本を読んで疑問に思ったことも、連載を読めば答えが散りばめられ、その逆もある。二重らせんのように本と連載が存在し、読者さんがどちらの世界も行ったり来たりしながら楽しめる。そうすると読者さんの目に見えている世界に厚みが出るのです。

 それを目指しました。もちろんどちらかだけを読んでも面白いし、本を待って続きを読んでも、いずれその場面を知ることができます。

【本は育てることができる】

 私は読み専でしたので、書籍化でなろうの読者さんが置いてきぼりになるのはイヤでした。だから『なろうと本を両方読んでいる人が一番楽しめる』ことを意識しました。

 気づかぬ人は何の感慨もなく通りすぎる、それでいいのです。だって宝探しは自分で見つけるからこそ、宝が光り輝くのですから。それをひたすら続けて5巻目で、ようやく読者さんから反応がありました。

「週刊誌の連載を読むのに似ている。これは楽しい!」

「そうです、目指していたのはそこなんです!」

 たしかに本が発売されてしまえば、できることは限られる。けれど本は育てることができます。なろうで連載を続けたからこそ、それが可能でした。本で知ってなろうに続きを読みに来る方、ウェルカムです。

「いま連載しているこの場面が本になるのが楽しみです」

 そう言っていただける話を書けたこと、それを本が出るたびにくり返したのが物語を大きく広げました。『魔術師の杖』を育てたのは出版社じゃない、読者さんの力です。

 これが私なりの答えです。作家を志す皆様の参考になれば幸いです。

 6月30日発売!
『魔術師の杖⑦ ネリアと魔術師レオポルド』(https://izuminovels.jp/isbn-9784295601920/
レオポルドとネリアが見つける、グレンが遺した想いとは……?

 6月から全国の書店で取り寄せ可能になりました。
(※注文後のキャンセルはできません、7巻は登録待ちのため9月頃から注文できます)
Amazon(http://www.amazon.co.jp/dp/B0C76ZR8MW
Bookwalker(https://bookwalker.jp/de414b5856-1898-4ec0-99b6-e43a8affb27f/
いずみノベルズ様より好評発売中!
『魔術師の杖』シリーズ(https://izuminovels.jp/series/cat/neria/

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