【角田裕毅F1第20戦分析】エンジニアも「最高の仕事をした」と称賛。Q1でのサポートがリカルドのタイヤ温存に繋がる
F1第20戦メキシコシティGP(メキシコGP)の予選をQ2で終えた角田裕毅(アルファタウリ)は、「仕事をやり切った」という感じの表情をして、メディアが待つミックスゾーンへやってきた。
先に各国のテレビ局のインタビューを受け、それを終えた後、しばらく近くにあった大型のモニターを見ていた。ちょうどQ3が佳境を迎えていた。その後、雑誌記者たちが待つミックスゾーンにやってきた角田は、こう言った。
「アルファタウリのクルマがメキシコでこんなにいいとは思っていなかったので、ちょっと残念です。今週の僕らのクルマはとにかく、本当に速いみたいで、ダニエルは僕のスリップストリームなくてもQ3へ進出できたかもしれませんからね(笑)」
Q1とQ2で自らのアタックラップを犠牲にして、チームメイトのダニエル・リカルドにスリップストリームを使わせた角田。そのおかげでQ2を4番手で通過したリカルドは、角田のスリップストリームがないQ3でも4番手となるタイムをマークしていたからだ。
一見、Q3でのリカルドの快走に、角田は影響を与えていないように思えるが、そんなことはないとチーフレースエンジニアのジョナサン・エドルズは語る。
「Q1のダニエルの1回目のタイムアタックからユウキはダニエルにスリップストリームを使わせてくれた。これでダニエルはコンマ数秒を手に入れ、Q1を突破するのに十分なタイムを叩き出すことができた」
これにより、リカルドはソフトタイヤを1セット温存でき、Q2とQ3でそれぞれ2セットずつ新品のソフトタイヤを使用できることになった。
Q3の1回目のアタックで、メルセデス勢やセルジオ・ペレス(レッドブル)、さらにオスカー・ピアストリ(マクラーレン)らを抑えて4番手につけることができたのは、彼らの1回目のアタックは中古タイヤで、リカルドが新品だったことが大きく影響していた。
2回目のアタックはほぼ全員が新品タイヤでのアタックとなったが、今度は風向きが変化したのか、あるいは路面温度が下がったことが影響したのかわからないが、ほとんどのドライバーが自己ベストを更新できなかった。つまり、Q3の勝負は1回目のアタックで大方決まるという予選となった。
もし、角田がQ1からリカルドにスリップストリームを使わせていなかったら、リカルドの順位は6番手か7番手となっていたかもしれない。だから、予選後、リカルドはこう言って角田に感謝した。
「ユウキが素晴らしくて、Q1と2ではスリップストリームを使わせてくれた。僕の頭のなかでは7番手か、よくて6番手くらいをイメージしていたけど、4番手というのはクレイジーだね!!」
エドルズも角田のサポートを次のように称えた。
「ユウキにとっては、つらい予選となったが、彼はチームプレーヤーとして最高の仕事をして、アルファタウリを助けてくれた」
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