F1、燃料温度の監視手順を一部変更。スペインGPではフェルスタッペンがピットスタートの危機に
レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝したF1スペインGP。だがこのフェルスタッペンは、ダミーグリッドに向かう前にある危機に陥っていた。
フェルスタッペンおよびピエール・ガスリー(アルファタウリ)は燃料温度が規定の温度まで上昇するのを待っていたため、ピットレーンがクローズされる直前までガレージに留まらざるを得なかったのだ。
技術規則の6.4.2には、燃料の温度について『直ちに車両に使用される予定の燃料は大気温より摂氏10度以上下げてはならない』と規定されている。
基準となる大気温はフリー走行の1時間前、レース開始2時間前に計測され、FIAの公式計時システムを通じてチームに通知されることになっている。
冷却された燃料は高密度で熱容量が増すため、レース中の給油が許可されていた時代などは、燃料を冷却することはアドバンテージにつながっていた。ただ現在、燃料は温度で変動しない質量を基準に管理されており、ギリギリまで燃料温度を下げるメリットはそれほど大きくない。
それでも燃料を冷却するのは、燃料タンク内でのパーコレーション(燃料の気化)を防ぐためなどの理由がある。
チームはレースに向けた通常の準備作業の一環として、スタートの2時間前に燃料をマシンに入れ、暖機運転で徐々に上がっていく燃料温度が規定をクリアできるようモニターを続ける。
スペインGPのレース前は、34度前半の気温が続いていた。これまで、FIAが発表する基準気温は1度単位で表示されておりチームは燃料温度が24度を超えていればいいと考え、準備を進めていた。
ところが、FIAが35度を基準にすると発表。各チームが25度となったリミットを守るために奔走することになったのだ。
特に大きな影響を受けたのが、レッドブルとアルファタウリだ。フェルスタッペンとピエール・ガスリーがぎりぎりまでガレージに留まり、規則に違反するリスクを避けようとしていたのだ。
その後、FIAが基準気温を発表した時点で、35度というのは正しい数値だったのかも含めて、燃料温度の監視手順についてチームとFIAの間で議論が交わされている。
モナコGPに向けて、レースディレクターのエドゥアルド・フレイタスは、イベントノートで今後はより正確な数値を使うことで、混乱を避けると発表した。
フレイタスは『各プラクティスセッションの1時間前とレースの2時間前に送信される公式気温メッセージは、今後小数点以下1桁まで表示されるようになる』と記している。
チーム側はより長期的な手順変更を求めており、例えばスタート3時間前など、より早いタイミングで気温を発表すれば、燃料をマシンに入れる前に計算をする時間を確保することも選択肢として考えられる。
こうした問題は、マイアミGPでアストンマーチンの2台がグリッドにつけなかったことで初めて浮き彫りとなった。ガスリーは、スペインGPでガレージから出るのを待たされたことが、いかにストレスの溜まるものだったかをmotorsport.comに明かしている。
「ある時点で時計が見えて、行けたらいいなと思ったんだ。残り20秒くらいだった」
「レース前、僕たちはそのことについて笑っていたんだ。マイアミでアストンマーチンに起こった燃料の話でね」
「僕たちも同じ状況になりかけたけど、なんとか解決できて良かったよ」
「レースには影響しない些細なことだし、避けられることだ。みんな楽に過ごせる時間のはずなんだ」
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