F1第8戦金曜会見:「ペレスの契約延長は理に適っている」とガスリー。去就は首脳陣と議論中、サインツからはエールも
前戦モナコGPから2週間後の開催とはいえ、セルジオ・ペレス(レッドブル)の劇的優勝は記憶に新しい。レース後のお祝いではかなり羽目を外してしまったようだが、司会者はそこにはあえて触れず。ペレスも普通に、受け答えしていた。
Q:レース後のお祝いはどのようなものでした? そしてメキシコでは、この成功をどのように受け止めていましたか?
ペレス:とてもいいお祝いだったよ。母国ではもちろん大騒ぎだった。モナコでの優勝はドライバーにとって生涯の夢だし、それを達成したことは間違いなく特別なことだからね
Q:2年前の今頃は、翌年のシートがどうなっているかもわからない状態でした。それが今は、モナコの勝者になっている。その変化には、どんな教訓があるのでしょう?
ペレス:この世界では文字通りレースからレースへと、物事が急速に変化していくということだね。数週間のうちに、ヒーローからゼロにもなりうる。自分のキャリアにおいていつ正しいチャンスが訪れるかは、本当にわからない。だからいつもプッシュし続け、チャンスを最大限に活かし続けることが大切だと思う
F1キャリアで何度もアップダウンを経験してきたペレスだからこその、説得力のあるコメントだった。そしてペレスはこの席で初めて、レッドブルとの契約延長はモナコGPの前週にサインしたことを明らかにした。
Q:新しい契約、おめでとうございます。具体的に、いつサインしたのですか? そしてチームメイトと対等な関係を築きたいとのことですが、交渉の場ではどんな話をしたのでしょう?
ペレス:モナコの前の金曜日にサインしたんだ。2位でフィニッシュしなければならないとか、そういうことは契約には書かれていないよ
今季のペレス、特にスペインGP以降のペレスは、マックス・フェルスタッペンをしのぐ速さをコンスタントに見せている。そしてモナコの勝利で、選手権首位のチームメイトからわずか15ポイントまで差を縮めた。悲願のタイトル獲得も、決して夢ではないということだ。
Q:今年タイトルを争うチャンスはあると考えますか。そしてこれほど早く契約が成立したことは、頭をすっきりさせ、気が散らないという意味で大きかったでしょうか?
ペレス:ドライバーが確実なものを求めるのは確かだし、そのストレスから解放されたいと思うものだ。だから早ければ早いほどいい。週末ごとに100%の力を発揮するのは、とてもエネルギーが必要だし、集中力も必要だからね。タイトル争いについては、まだシーズンは始まったばかりだから、これから何が起こるかわからない
Q:昨年よりも今年のほうがずっと乗りやすいマシンだと、チーム関係者から聞いています。具体的なハンドリングの違いなど、説明していただけますか?
ペレス:去年は明らかに、以前からのセットアップに従って走っていた。その意味では、チームに長くいるドライバーがアドバンテージを持っていた。実際、このクルマに初めて乗ったとき、最大限の力を常に引き出すのはとても難しかった。独特のドライビングスタイルを持っていて、それに適応するのに時間がかかった。シーズン終盤にはうまくいったけど、そこまで時間がかかりすぎた。それが今季はレギュレーションが大きく変わって、ゼロからのスタートになった。そして僕はレッドブルで2年目に入って、エンジニアや周りの人たちとの関係も、いっそういいものになった。クルマも快適で、最大限の力を引き出すことができている
自信に溢れたペレスのコメントを聴いていると、シャルル・ルクレール(フェラーリ)やフェルスタッペンを下してチャンピオンになることも、もしかしたらありうるという気もしてくる。
一方でペレスの残留決定に大きな影響を受けたのが、レッドブルの昇格を狙っていたピエール・ガスリー(アルファタウリ)だった。
Q:ペレスの契約延長発表以来、あなたに話を聞く初めての機会です。あなたの将来はどうなるのでしょう?2023年に向けて、レッドブルファミリー以外の可能性に目を向けているのでしょうか?
ガスリー:いや、今のところ外を見ようとか、そんなことは考えていない。レッドブルとの契約状況はかなり明確だからね。もちろんヘルムート(・マルコ)や首脳陣とは、お互いにとって何がベストなのか、現在進行形で話し合っているよ。でも一方で、今年に入ってから競争力を発揮しているチェコが契約延長することは、とても理にかなっている。だから(今回の発表には)何の驚きもない。もちろんそれが僕のこれからのキャリアに、影響を与えることは間違いない。それを踏まえて、今後何がベストなのか、普通に話し合う必要があるんだ
Q:レッドブルの外への移籍も視野に入れている?
ガスリー:繰り返すけど、進行中の会話だし、これ以上付け加えることは何もない。正しい決断が、正しいタイミングでされると思う。自分がなぜここにいるのか、F1で何を達成したいか、僕は十分にわかっている。僕にとって重要なのは、優れたパフォーマンスだけだ。勝利やポールポジション、チャンピオンシップを争うためにここにいる。だから、僕は毎回、自分の限界を超えるような努力をしているんだ。今はアルファタウリでの最高の結果を出そうとしているし、適切な時期が来たら決断を下すつもりだよ
今回の会見でガスリーの隣にカルロス・サインツ(フェラーリ)を座らせたのは、当然以下のような質問を用意していたからだろう。サインツも当時のトロロッソからルノー、マクラーレンを経て、フェラーリというトップチームへの移籍を果たした存在だからだ。
そしてサインツは当時の自分の状況を率直に語り、ガスリーの将来にエールを送ったのだった。
Q:カルロス、あなたは長年にわたってレッドブルドライバーでした。ピエールが置かれている状況を踏まえて、レッドブルファミリーから離れることはあなたにとってどれほど難しいことだったのでしょうか?
サインツ:簡単なことではなかったよ。レッドブルのおかげでF1への道が開かれたわけだから。でも今の僕は、F1ドライバーのキャリアを存分に楽しんでいる。ピエールの気持ちは、よく理解できる。僕も似たようなことを経験したからね。当時はそのせいでレッドブルで何度か悪い状況や悪い瞬間を経験したけれど、今はヘルムートやクリスチャン(・ホーナー代表)といい友人でいられるし、彼らには感謝の言葉しかない。両方の立場を理解することができる。自分がどうありたいかと同時に、自分を信頼してくれている人たちに忠実であることは、とても難しいことなんだ。そして僕にとってピエールは、コース上で常に素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれる優れたドライバーだ。彼が大きな期待を抱き、優勝やポールポジションを狙える場所を探したいと思うのは当然のことだよ
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