マクラーレン、既にリカルドに契約の早期解除を通達済み? 後任はピアストリでほぼ決まりか
motorsport.comの取材によれば、マクラーレンはダニエル・リカルドに対して、今季限りで契約解除する意向であることを正式に伝えたようだ。マクラーレンはこの契約解除に関しては最終的に合意に至ることができると考えているようで、すでにオスカー・ピアストリと契約を結んでいるとみられる。ただピアストリとの契約は現状では2023年のリザーブドライバー契約であり、シートが空いた場合はレギュラードライバーにアップグレードされるという内容のようだ。
リカルドはまだルノーに在籍していた2020年の初頭にマクラーレンと契約。2021年から3年間、同チームに在籍することが決まった。在籍1年目の昨シーズンは、イタリアGPで優勝するなど目立つ成績も残したが、全体的にはチームメイトであるランド・ノリスにパフォーマンス面で差をつけられてきた。在籍2シーズン目となった今季もそのパフォーマンス差は埋まらないため、チームとしては契約を早期に解除することを決めたようだ。
ただ2023年の契約を結んでいることも事実であり、マクラーレンとしてはリカルドを納得させるためには、相当な見返りを含む条件を提示しなければならないだろう。
マクラーレンは来シーズンからフォーミュラEへの参戦をスタートさせる予定であり、リカルドにはこのフォーミュラEのシートも打診されたようだ。しかしリカルドとしてはあくまでF1に拘りたいという意向を持っているようで、他チームのシートを探すつもりであると見られる。
マクラーレンはリカルドの後任として、前述の通りピアストリと既に話をつけている。ピアストリはアルピーヌとの契約を解除するために、2023年の契約が正しい形で結ばれていなかったと主張していると考えられている。
この問題はそう簡単に解決することはなく、契約承認委員会に持ち込まれる可能性が高そうだ。ただアルピーヌ側として、ピアストリとの2023年も有効な契約を契約承認委員会に提出できているかという点には疑問も残る。
なおマクラーレンは、数週間前にリカルドの後任候補を探し始めたようで、その頃からピアストリを獲得する可能性を探っていたようだ。
ここで重要な役割を果たしたのは、マクラーレンのチーム代表であるアンドレアス・ザイドルと、ピアストリのマネージャーであるマーク・ウェーバーだ。ザイドル代表は以前、ポルシェのWECチームを率いていた人物。その時のドライバーのひとりがウェーバーであり、ふたりは以来親しい関係にある。
ピアストリは当初、2024年もしくは2025年にアルピーヌに残るという条件付きのレンタル契約の形で、ウイリアムズに加入するものと見られていた。
しかしこの頃、マクラーレンからの接触があったようだ。ピアストリとしても、マクラーレンの方がウイリアムズよりも魅力的であったため、真剣な交渉がスタートしたようだ。
一方でリカルドは、マクラーレンから離れることになれば、アルピーヌが移籍先の第一候補となるだろう。ただリカルドは、アルピーヌがまだルノーと名乗っていた時代に突如マクラーレン移籍を決断したことで、同社の経営陣の中にはリカルドに良い印象を持っていない者もいると言われる。チーム代表のオットマー・サフナウアーは、リカルドのチーム”復帰”は「全く問題ではない」と語っているが、ハードルのひとつになることは間違いないだろう。
ミック・シューマッハーが噂通り離脱することになれば、ハースもリカルドにとっての選択肢になるかもしれない。しかしハースのシートのひとつは、フェラーリに選択権があるとも言われている。
リカルドのサラリーについては、大きな問題にならないだろう。というのも、マクラーレンが契約を早期に解除することを選択したならば、来季のサラリーを全額支払う必要があると考えられるからだ。例えばキミ・ライコネンが2009年にフェラーリから解雇された時には、フェラーリがその後2年間のサラリーを支払うことになった。そしてライコネンは一時F1を離れ、WRC(世界ラリー選手権)などに参戦したわけだ。
今回のリカルドの場合も、どこか別のチームで走ることになったとしても、マクラーレンは当初結んでいた契約の内容に伴い、その全額をリカルドに支払う必要があるかもしれない。
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