レッドブルF1、ハータ獲得を完全に断念との報道。ガスリーの後任については引き続き検討、デ・フリースが候補に浮上

 

 レッドブルが、2023年アルファタウリのドライバーとしてインディカードライバーのコルトン・ハータを獲得することを断念したと、複数のメディアが伝えた。F1に参戦するためのスーパーライセンス取得に十分なスーパーライセンスポイントをハータは獲得しておらず、レッドブルはFIAに対して例外としてのライセンス発給を求めていたが、それは認められなかったといわれている。アルピーヌからピエール・ガスリー移籍について打診されたレッドブルは、以前、ハータを獲得できればガスリーを手放すと発言した。しかし今は、ハータ以外の候補について検討し始めており、ガスリーがアルピーヌに移籍する可能性はまだゼロではないようだ。

 スーパーライセンスが発給されるには、各カテゴリーのランキングごとに割り当てられたスーパーライセンスポイントを、申請年直前の3年間において40ポイント獲得しなければならない。しかしハータの獲得ポイントは32ポイントにとどまっている。レギュレーションには、30ポイント以上を獲得したものの、ドライバー自身が管理できない状況、または不可抗力による理由で条件を満たせなかったとFIAが認めた場合にもライセンスが発給されると記されている。また、パンデミックを考慮し、申請前の3年間に2020年か2021年が含まれる場合、申請年前の4年のうち高得点を得た3年のポイントを採用するという規定もある。

 しかしFIAはハータはスーパーライセンス取得の条件は満たしておらず、特例は認めないとのスタンスを変えなかったようだ。ハータには冬季に行われるシリーズに参戦してポイントを稼ぐという道も残されていたが、ドイツの『Motorsport-Magazin.com』と『Motorsport-Total』は、レッドブルは2023年にハータを走らせるというプランを断念したと伝えた。

コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)
コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)

 レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、「システム全体が間違っている」と発言したと『Motorsport-Magazin.com』が報じた。また、『Motorsport-Total』に対してマルコは、「アメリカのドライバーの価値を、彼ら(FIA)が理解していないことは残念だ。特にコルトン・ハータのようなドライバーがいれば、アメリカでの3戦が非常に盛り上がるはずだったのだが」と述べている。

 ハータはアルピーヌが来週2021年型F1マシンで実施するテストに参加する予定だったが、それも取りやめになるようだ。

 レッドブルがハータを獲得できないということは、アルファタウリのガスリーのアルピーヌ移籍も現時点では認められなくなったわけだが、『Motorsport-Total』に対してマルコは、「どのような可能性があるかについて、現在幅広い議論を行っているところだ」と述べ、レッドブルが他の候補を採用する可能性があると示唆している。

『Motorsport-Magazin.com』と『Motorsport-Total』は、マルコは、イタリアGPで急きょF1デビューを飾り、素晴らしいパフォーマンスを発揮したニック・デ・フリースとの面談を行ったと伝えている。デ・フリースはアルピーヌが来週行う昨年型車でのテストに参加する予定になっている。

2022年F1第16戦イタリアGP デビュー戦9位のニック・デ・フリース(ウイリアムズ)とCEOヨースト・カピート
2022年F1第16戦イタリアGP デビュー戦9位のニック・デ・フリース(ウイリアムズ)とCEOヨースト・カピート

 レッドブルがガスリーのふさわしい後任を見つけられなかった場合は、ガスリーは予定どおりアルファタウリにとどまり、アルピーヌは他のドライバーを探さなければならない。

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