F1 Topic:レースを愛したマテシッツをレッドブルらしく追悼。トレードマークのジーンズ着用を代表が提案
レッドブルの共同創設者であるディートリッヒ・マテシッツが78歳で逝去した。公式には明かされていないが、数年前から闘病生活を送っており、2021年と2022年はいつもは顔を見せる母国グランプリのオーストリアGPが行われるレッドブルリンクにも姿を見せなかった。
レッドブルリンクは2000年代にA1リンクを購入し自らが所有するサーキットだった。レッドブルがホンダと初めて密談を行ったのがレッドブルリンクなら、ホンダと組んで初めて優勝のもこのサーキットだった。
しかし、その笑顔をもう見ることはできない。
訃報を伝えられたクリスチャン・ホーナー代表はレースを翌日に控えた10月22日の土曜日の夜、チームスタッフ全員に、ある提案を行った。それは喪章をつけて暗い気分でレースするのではなく、どんな時でも笑顔を絶やさずチームを見守り、レースを愛したマテシッツのために、マテシッツがサーキットに来るときにいつも着用していたジーンズを、メカニック以外のスタッフで私服で持っている者は履いて、レッドブルらしくマテシッツを追悼するというものだった。
さらにガレージ内では1日中、マテシッツが愛したローリング・ストーンズの曲を流し続けた。日曜日のスタート前に行われたセレモニーでは、F1界に多大なる貢献を行なったマテシッツの功績を讃え、1分間の黙祷が行われた。黙祷が終わると、大型ビジョンにマテシッツを偲ぶ映像が映し出され、それに合わせて曲が流れ始めた。ローリング・ストーンズの『Start Me Up』だ。ボーカルのミック・ジャガーが「エンジンをかけてくれ」と熱唱するこの名曲をマテシッツが好んで聴いていたという。
その映像と曲を聴きながら、レッドブルのスタッフたちが見せた、このまで見たことがない独特の表情を浮かべていたのが忘れられない。
人間は苦境に立たされたとき、その人の真価が問われると言われる。この日、レッドブルのスタッフが見せた姿はレッドブルがコース上だけでなく、人としても最高のチームであることを雄弁に物語っていた。
2013年以来、9年ぶりのコンストラクターズ選手権制覇を祝福したい。
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