レッドブルで才能あるドライバーの発掘・育成を務めるヘルムート・マルコ。自身への“冷酷”という評判を気にせず

 

 レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、セバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンのように、キャリアの非常に早い段階で未来のドライバーの才能を発掘し、育成することで高い評価を得ている。

 ふたりともレッドブルの若手育成プログラム出身だ。しかし、同時に将来のスターを特定するということは、見込んだドライバーがトップレベルに到達しそうにないタイミングを見極めることでもある。マルコには多くの悪い知らせをドライバーに伝える責任があり、伝える相手は、子供がF1へのはしごの1段目を登るのを助けようとしているドライバーの両親である場合も多い。

 そしてF1ドライバーになったとしても、彼らは油断できない。アレクサンダー・アルボン、ダニール・クビアト、ピエール・ガスリーは、マルコの期待に応えられずにレッドブルでの契約を切られたことがある。

 しかしドライバーの扱いについて冷徹であるという評判をマルコは少しも気にしていない。

「モーターレースでは、エンジン、タイヤ、シャシーなど、勝てないことの言い訳が常にある」とマルコは今週『Road and Track』のインタビューで語った。

「残念ながら、多くのドライバーは両親の援助を受けている。両親は息子を有名なレーシングドライバーに育てるという夢を実現するために、多くのお金を費やし、時には持っている以上のお金を使う」

「彼らに違う進路へ進み、お金を無駄にするのを止めるべきだと言うのは私の義務だ」

ピエール・ガスリー(アルファタウリ)&ヘルムート・マルコ
2022年F1アゼルバイジャンGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ)&ヘルムート・マルコ

 マルコはその義務を果たすことを恐れない。マルコは、マックスのキャリアに干渉しているとして父のヨス・フェルスタッペンを叱りつけさえしたし、アルファタウリの角田裕毅を「問題児」呼ばわりすることも躊躇しなかった。マルコは、F1ドライバーは大切に甘やかされることなしにプレッシャーに耐えられるようにならなければならず、他のチームが舞台裏で行うようなことを、公の場で話すことには正当性があると語った。

「我々はチャンピオンシップを成り立たせている。当然そこには大きなプレッシャーがある。だがそのプレッシャーに耐えられないのなら、レースは間違った仕事だ」

 しかしマルコがまったく批判をしないのが、2度の世界チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンだ。マルコは彼が他のすべてのドライバーを凌駕していると感じている。

「マックスをチームメイトに持つのは、キャリアのなかでよい時期ではないだろう。特別な人間がいて、彼を打ち負かすことはできないとある時点で認識する必要がある」

「彼らにそのことを理解させることが私の仕事だ。これは残酷なことだろうか? 私はそうは思わない」

ヘルムート・マルコ&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第19戦アメリカGP表彰式 ヘルムート・マルコ&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

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