ルクレールがサインツとの順位入れ替えを懇願も、フェラーリは応じず「ふたつの点でリスクがあった」と代表/F1第21戦
2022年F1ブラジルGP決勝で、フェラーリのシャルル・ルクレールは4位、カルロス・サインツは3位だった。
ルクレールはレース序盤、ランド・ノリス(マクラーレン)にヒットされ、コースオフ。幸いピットに戻ることができ、フロントウイングおよびタイヤを交換して復帰するが、最後尾に落ちてしまった。サインツは、捨てバイザーがブレーキダクトに引っかかり、右リヤブレーキの温度が上がってしまったため、予定より早く緊急ピットインをせざるを得なかった。しかしふたりともその後は順調にポジションを上げ、メルセデス2台に続く3、4位を獲得した。
71周のレースの64周目、ルクレールはサインツのすぐ後ろの4番手に浮上した。ルクレールはチームに対し、サインツとのポジション入れ替えを許可するよう頼んだ。ルクレールはセルジオ・ペレス(レッドブル)とドライバーズランキング2位を僅差で争っており、状況によってはポジション入れ替えを行うという取り決めがなされていたからだ。
「こういう位置関係なら、選手権ポイントのことを考えて」「お願い。選手権のこと、すべてのポイントのことを考えて」と無線でチームに懇願したルクレールだが、チームからは「リスクが高すぎると思う」との返信があり、願いは聞き入れられなかった。
ルクレールの要求を断った理由を、フェラーリ代表マッティア・ビノットは次のように説明した。まず、サインツにはペナルティが科される可能性があったという。セーフティカー出動時、FIAの自動システムの問題によって、周回遅れの角田裕毅(アルファタウリ)はリーダーたちと同一周回に戻ることが許されないまま、他のマシンのなかを走っていた。その際、サインツが角田を追い越したため、これについて調査を受けていたということだ。
もうひとつの理由は、ルクレールのすぐ後ろにフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がいたため、順位入れ替えで追いつかれることを心配したという。
「(順位入れ替えをしなかったのには)理由があった」とビノットが語ったと『MotorLAT』が伝えた。
「まず、最終ストレートで2台の順位を入れ替えるのはトリッキーだった。シャルルのすぐ後ろにフェルナンドとマックスがいたからだ。さらに、セーフティカー出動時、角田とのことで我々は調査対象になっていた。その後、レースコントロールから問題なしという結論が出た」
「だが、その結論が出るまでは、たとえば5秒ペナルティを受ける可能性があり、順位入れ替えをすると、カルロスはいくつかポジションを失うことになり、リスキーだった」
ドライバーズ選手権は、ペレスが今回7位どまりだったため、ルクレールは同点に並び、勝利数によりランキング2位に復帰した。
■シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)
決勝=4位
5番グリッド/タイヤ:ミディアム→ミディアム→ソフト→ソフト
タフなレースだった。スタート直後のインシデントで最後尾まで落ちてしまったんだ。でも、ペースもフィーリングも良かったし、自分のパフォーマンスと4位まで挽回できたことに満足している。
チェコ(ペレス)とは(ランキング2位をめぐり)とても激しい戦いになっている。アブダビのレースを楽しみにしている。シーズン最後のレースで、全力を尽くしたい。
(順位入れ替えを頼んだことについて聞かれ)普通はそういう頼み事はしないのだが、レース前にそれについての話し合いをしていたんだ。だから頼んだ。アブダビで速さを発揮して、ランキング2位をつかみたい。3ポイント差とかで逃がしたくはないね。
■カルロス・サインツ(スクーデリア・フェラーリ)
決勝=3位
7番グリッド/タイヤ:ミディアム→ソフト→ミディアム→ソフト
チームは素晴らしい戦いをして、この結果をつかんだ。良い週末だったよ。エンジンペナルティを受けたり、捨てバイザーが引っかかったことで、予定よりも早くピットインしなければならず、戦略を立て直すという不運なこともあったが、堅実なレースができた。
僕たちはしっかり集中し、再びペースを取り戻し、レース全体を通して速さを発揮することができた。今日訪れたすべてのチャレンジにうまく反応したと思う。ピットストップ作業も素晴らしかったよ。
チームのために最大限の結果を持ち帰った。最終戦アブダビのレースが楽しみだ。
初優勝を挙げたジョージ(・ラッセル)におめでとうと言いたい。彼は勝利にふさわしい、素晴らしい週末を過ごしたと思う。
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