FIA会長、アンドレッティ・キャデラックF1プロジェクトへの“否定的な反応”を批判

 

 FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、アンドレッティ・キャデラックのF1プロジェクトに対して「否定的な反応」があったことに驚いたとのコメントを発表した。

 ビン・スライエム会長は、F1参入を希望する者の存在を確認したいとの意向を示し、そのためのプロセスを開始する見通しであることを明らかにした。それを受け、マイケル・アンドレッティ率いるアンドレッティ・グローバルが、アメリカの自動車メーカー、ゼネラルモーターズと提携し、『アンドレッティ・キャデラック』としてF1エントリーを目指すと発表した。

アンドレッティ・キャデラックがF1参戦の意向を表明
アンドレッティ・キャデラックがF1参戦の意向を表明

 これについて、ビン・スライエムFIA会長は、歓迎するコメントを発表。「アメリカからのこのニュースは、FIAの管理下にあるFIA F1世界選手権の人気と成長をさらに証明するものだ。特に、ゼネラルモーターズ/キャデラックとアンドレッティ・グローバルという2つの象徴的なブランドが興味を示したことは、喜ばしいことである」と述べた。

 一方で、F1の声明は「我々はこのチャンピオンシップが信用と安定を保つことを望んでいる。新規参入の要請は、関連するステークホルダーにより、これらの目的を満たすための基準に基づいて評価される」「新規参入の要請には、F1とFIA両方の同意が必要になる」というもので、FIA会長のコメントとの温度差が感じられるものだった。さらに、F1チームは、アンドレッティ・キャデラックの発表についてのコメントを公式には一切行っていない。

 F1既存チームの多くは、エントリー数が増えることで分配金が減少するため、F1新規参入者を歓迎していない。F1に新たに参入するチームは2億ドル(約263億円)をFIAに支払わなければならず、それが10チームに均等に分配される。しかし既存チームは、2000万ドル(約26億円)では損失を補えないと考えているのだ。

2022年F1第5戦マイアミGP マイケル・アンドレッティとFIA会長モハメド・ビン・スライエム
2022年F1第5戦マイアミGP マイケル・アンドレッティとFIA会長モハメド・ビン・スライエム

 ビン・スライエム会長は、1月8日、詳細は明かさずに、「キャデラックとアンドレッティのニュースに否定的な反応があったのは驚くべきことだ」とTwitterを通してコメントした。

「FIAは、近年、より小規模でありながら成功している組織のエントリーを受け入れてきた。GMのような世界的なメーカー、そしてアンドレッティやその他のレース界の名門からの将来のF1エントリーを奨励するべきである」

「成長市場にあるチームからの関心は、多様性を増し、F1の魅力を広げることになる」


 過去に、アンドレッティのF1参入プロジェクトを支持する立場を示したチームは、マクラーレンとアルピーヌ/ルノーだけだ。マクラーレンCEOザク・ブラウンは、自分の母国アメリカから新しいF1チームが生まれることを歓迎している。一方、ルノーは現在パワーユニットの供給先がアルピーヌ1チームのみであり、アンドレッティの参入は提携チーム拡大のチャンスになるかもしれない。

 大部分のチームが、11番目のチーム参戦を歓迎していないが、アメリカ最大の自動車会社ゼネラルモーターズの参入は、アメリカでのF1人気をさらに高めることは間違いなく、既存チームにとって新たなスポンサー獲得のチャンスになるだろう。つまり、アンドレッティ・キャデラックの参入は、F1全体にとって大きなメリットにつながるものと考えられる。

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