フェルスタッペンがオーバーテイクショー炸裂で逆転優勝。角田裕毅は11位【決勝レポート/F1第5戦】
現地時間5月7日、2023年F1第4戦第5戦マイアミGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季3勝目、自身通算36勝目を飾った。2位にセルジオ・ペレス(レッドブル)、3位にフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は11位でチェッカーを受けている。
今季アメリカで3戦が開催されるF1。その初戦となる第5戦はフロリダ州マイアミに特設されたマイアミ・インターナショナル・オートドロームを舞台に、マイアミGPとして開催された。今大会ではC2タイヤがハード(白)、C3タイヤがミディアム(黄)、C4タイヤがソフト(赤)と、前戦アゼルバイジャンGPからは1段階硬めのコンパウンドが割り当てられている。
スタートタイヤは、8番グリッドのエステバン・オコン(アルピーヌ)、9番グリッドのフェルスタッペン、12番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、13番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)、14番グリッドの周冠宇(アルファロメオ)、17番グリッドの角田、18番グリッドのランス・ストロール(アストンマーティン)がハード(白)をチョイス。
一方、16番グリッドのランド・ノリス(マクラーレン)、19番グリッドのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)の2台のみがソフト(赤)を選択し、予選上位7台を含む10台がミディアム(黄)となった。
予選後の6日深夜にはコース上に雨が降り注いだものの、決勝直前までに路面はドライコンディションに。曇り空のもと、直前の計測で気温27度、路面温度34度、湿度61%というコンディションのなか、57周の決勝レースはスタートを迎えた。
ポールシッターのペレスがホールショットを守り、2番手にアロンソ、3番手にカルロス・サインツ(フェラーリ)とここまではグリッドどおり。4番手にはジョージ・ラッセル(メルセデス)をかわしたピエール・ガスリー(アルピーヌ)が浮上し、一方4番グリッドスタートのケビン・マグヌッセン(ハース)は7番手に後退している。一方、15番手スタートのニック・デ・フリース(アルファタウリ)がターン1で止まりきれずノリスに追突し、最後尾に後退する。
9番手スタートのフェルスタッペンは2周目にバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)をかわして8番手に浮上。一方、地元アメリカ出身のローガン・サージェント(ウイリアムズ)は他車との接触があったか、早々に緊急ピットインを敢行し、フロントウイング交換を余儀なくされる。
3周目にはマグヌッセンがシャルル・ルクレール(フェラーリ)をかわし6番手に浮上。ただルクレールもターン17〜ホームストレートでマグヌッセンと並ぶと、8番手につけていたフェルスタッペンが、ルクレールとマグヌッセンをまとめて攻略し、6番手に浮上する。なお、5周目にはノリス、6周目にはピアストリと、ソフトタイヤスタートの2台が続けてピットインし、早々にハードタイヤに交換している。
ペレスがリードし、1.4秒後方にアロンソ、アロンソから0.7秒後方にサインツと、トップ3は不変。一方、コース上もっとも勢いを見せたのはフェルスタッペンだった。ハードタイヤを履きながらミディアム勢より1秒近く速いペースをキープし、7周目には5番手ラッセルの背後につくと、続く8周目のターン17でラッセルを攻略し、フェルスタッペンが5番手に浮上。フェルスタッペンのオーバーテイクショーの大きな注目が集まった。
そのフェルスタッペンは9周目のターン17進入でガスリーを攻略。3番手サインツから2.1秒差の4番手に浮上。その隙をついて10周目にはラッセルがガスリーをかわし5番手に浮上する。フェルスタッペンは11周目に1分31秒251と、この時点のファステストを記録しつつ、サインツとの間合いを1.192秒まで縮める。
13周目を迎え、フェルスタッペンがサインツの1秒以内に接近。DRSを使用し、一気に間合いを縮めると2台はテール・トゥ・ノーズに。そうして迎えた14周目のターン10でフェルスタッペンがサインツを攻略し3番手に浮上。さらに15周目のターン11でアロンソを攻略しついに2番手に浮上しレッドブル勢がワンツーを形成。この時点でペレスとフェルスタッペンのギャップは3.628秒だった。
14周目にマグヌッセン、15周目にガスリー、ボッタスがピットイン。ミディアム勢のタイヤに限界が近づくなか、16周目にフェルスタッペンは0.7秒近くペレスとの間合いを縮める。17周目にラッセル、ルクレール、18周目にサインツがピットイン。ミディアム勢のタイムダウンが目につき始めるなか、トップのペレス、3番手のアロンソはミディアムタイヤでの走行を続ける。
ペレスのフロントタイヤにグレイニングが視認できる状況となるなか、ペレスとフェルスタッペンのギャップは20周目時点で1.383秒まで縮まる。ここでペレスは20周終わりでピットインを敢行。これでフェルスタッペンがトップ、ミディアムタイヤで引っ張るアロンソが3.7秒差の2番手という状況に。そんななか、5番手走行中のサインツにピットレーン速度違反による5秒のタイムペナルティが降ることに。
ミディアムタイヤで最後まで引っ張ったアロンソは23周目終わりにピットイン。ただ、サインツに次ぐ5番手でコース復帰となり、実質1ポジションダウンに。レース折り返しも近づくなか、すでに1回のタイヤ交換を済ませたミディアムスタート勢が好ペースを見せる展開へと変わるなか、25周目にはペレスがファステストを更新し、フェルスタッペンとの間合いを16秒まで縮める。
27周目、ターン11でアロンソがサインツをかわし見た目上の4番手に浮上。アロンソはハードタイヤスタートから第1スティントを引っ張り3番手につけるオコンの背後に急接近。DRS使用可能状況となると、29周目のターン10でアロンソが3番手に浮上する。続いてペレスの背中を追いたいアロンソだが、30周目時点でのペレスとのギャップは約12秒。2台のギャップはここから徐々に広がりを見せることに。
31周目、フェルスタッペンが1分31秒293でこの時点のファステストをマーク。フェルスタッペンとペレスは34周時点で15.832秒差、35周時点で15.825秒差、36周時点で15.854秒と横ばいも、35周目にはさらに1分31秒225とファステストを更新。するとそのタイムに呼応するかのように今度はペレスが1分31秒192でファステストを更新し、フェルスタッペンはスティント終盤も対ペレスを意識し、プッシュを続ける。
一方、角田は36周目終わりにピットイン。ヒュルケンベルグの前14番手でコース復帰を果たす。同じくハードタイヤを履いたハミルトンは37周目にピットインと、ハードタイヤスタート勢も限界が近づいたことから、フェルスタッペンの動向に大きな注目が集まった。しかし、もっともタイヤを使い続けているフェルスタッペンのペースを上回るクルマはその時点では現れない。
フェルスタッペンとペレスのギャップが18.7秒まで広がった45周目終わり、フェルスタッペンがついにピットロードへ。3.1秒の停車時間でペレスの1.290秒後ろでコースに復帰。ここからレッドブル同士の直接対決が佳境を迎える。
26周走ったペレスのハードタイヤと、新品ミディアムタイヤを履くフェルスタッペンのペースは1秒以上異なり、47周時点でその差は0.4秒に。DRS区間に入ると2台の差は一気に縮まり、47周目のターン19から48周目のターン1まで2台は並走。しかし、タイヤコンディションの違いはあまりにも大きく、フェルスタッペンが首位に浮上。翌周にはフェルスタッペンが1分30秒687とファステストを更新し、早々にペレスを1.4秒引き離す。
57周目を終え、フェルスタッペンが5秒のリードを築いてトップチェッカー。9番グリッドから今季3勝目、自身通算36勝目を飾った。2位にポールシッターのペレス、そして3位に今季4度目の表彰台獲得となるアロンソが続いた。
4位ラッセル、5位サインツ、6位ハミルトン、7位ルクレール、8位ガスリー、9位オコン、10位マグヌッセンまでがポイント獲得。角田は随所で好バトル&オーバーテイクを見せ、6ポジションアップを見せるも入賞まであと一歩(約1.3秒届かず)の11位チェッカーとなった。なお、ファステストラップはフェルスタッペンが56周目に記録した1分29秒708となる。
次戦となる2023年F1第6戦エミリア・ロマーニャGPは5月19日〜21日に、イタリアのイモラ・サーキット(正式名称:アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)で開催される。
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