レッドブル&HRC密着:ピットストップでは「やられたと思った」アロンソのタイヤ交換に驚くもギャップは広がり首位を維持

 

 2023年F1第7戦モナコGPのレース後、焦点となったのは、雨が降り始めたレース中盤のピットストップだった。

 54周目に2番手を走行していたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がトップを走行するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)より先にピットインした。

レッドブル&HRC密着
2023年F1第7戦モナコGP 首位を走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

「やられたと思ったが、マックスがピットインしたとき、まだ9秒か10秒のマージンがあったから、たとえマックスがフェルナンドより5秒か6秒、遅いペースで1周してきても、まだトップを守れると思っていた」とクリスチャン・ホーナー代表は、先にピットインしたアロンソが雨用のタイヤに履き替えるものとばかり考えていた。

 ところが、アストンマーティンはアロンソにドライタイヤを履かせてピットアウトさせた。

「ミディアムタイヤを履いたのには驚いたよ」(ホーナー)

 しかし、アロンソは、それが敗因ではないと断言する。

「戦略は決して間違っていなかった。彼らは短い雨になると予測し、コクピットにいる僕には予測はできない。実際、あのとき雨が降っていたのは5コーナーから7コーナーあたりまでで数滴という程度で、コースの大部分はドライだった。だから、僕は彼らを信じて『ドライにしよう』と言ったんだ」

 しかし、その予測は外れ、直後に雨雲がコース上を覆い、路面は完全にウエットとなった。アロンソがピットインした翌周の55周目にフェルスタッペンがピットインすると、アロンソもインターミディエイトタイヤに交換するため、再びピットイン。

 その結果、ふたりがコースに復帰した56周目の差はふたりがピットインする前の53周目の13秒より広がってしまった。

 果たしてアストンマーティンが54周目にアロンソにインターミディエイトタイヤを履かせていたら、どうなっていたのだろうか。

 アロンソがインターミディエイトに履き替えて出て行った56周目のラップタイムである1分48秒531を1周前の55周目に出していたと仮定しよう。フェルスタッペンがピットインした55周目のラップタイムが2分10秒567だから、この周だけで22秒アロンソのほうが速い。

 ただし、フェルスタッペンは53周目の時点で13秒リードし、アロンソがピットインした54周でもさらにその差を広げて25秒にしているから、結果的にフェルスタッペンがアロンソの3秒前でコースに復帰していただろう。

 しかも、インターミディエイトに履き替えたフェルスタッペンは序盤なかなかタイヤが温まらずにペースが上がらず、アロンソのほうがペースが速かったため、その後はかなり接近した攻防が見られたはずだ。

 フェルスタッペン対アロンソのバトルの続きは、スペインGP以降に持ち越された。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2023年F1第7戦モナコGP 優勝マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&2位フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

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