レッドブル&HRC密着:「楽な勝利はひとつもない」エンジン負荷の高いモンツァでも連勝を続けるべく取り組むホンダ
5日前に終えたF1第14戦オランダGPで優勝し、開幕からの連勝記録を『13』に更新したレッドブル・ホンダRBPT。しかし、ホンダ・レーシングの湊谷圭祐(チーフレースエンジニア)は「致命的なトラブルこそ起きていないものの、楽な勝利はひとつもありませんよ」と、水面下では直面するさまざまな事象に対応し、トラブルを未然に防いでいると明かす。
たとえば、オランダGPを終えた後も、ホンダ・レーシング(HRC)のスタッフとレッドブル・パワートレインズ(RBPT)のスタッフはイギリスへ帰らず、イタリアへ向かっている。オランダGPで使用したパワーユニットは、イギリスのRBPTに戻ることなく、モンツァへ直行したからだ。
オランダGPで使用したパワーユニットに問題があったわけではない。レースを終えたパワーユニットのメンテナンスを行うためだ。パワーユニット本体は年間使用基数が定められているため、勝手に変更することはできないが、封印されていない本体以外の細かな部品や補器類などは消耗度に応じて交換することが許されている。
この作業はHRCのメカニックとRBPTのメカニックの各1名が共同で作業を行うことになっているが、連戦の場合は時間に余裕がないため、HRCとRBPTのファクトリーからそれぞれひとりずつサポートが現場に急行し、吉野誠(HRCチーフメカニック)の指示の下、メカニック4人体制でメンテナンスを行うことになっている。
モンツァは全23戦中、最もエンジンに負荷がかかるパワーサーキット。ここまで積み上げてきた連勝をパワーユニット側のトラブルで止めるわけにはいかないという強い気持ちがホンダのスタッフにはある。
そのモンツァで、フリー走行1回目はマックス・フェルスタッペンが1分22秒657でトップタイムを刻んだが、フリー走行2回目はフェルスタッペンが5番手、チームメイトのセルジオ・ペレスは残り10分で最終コーナーのパラボリカでスピンを喫して後方からバリアにクラッシュして、セッションを終えた。
フェルスタッペンは「低速から高速まで、まだ微調整が必要だ」と語り、ペレスは「マシンへのダメージがあまり大きくないことを願っている」と厳しい表情。
ホンダにとってモンツァはマクラーレンと組んでいた1988年に開幕から続けていた連勝記録がストップしたサーキット。35年前の苦い思い出を払拭すべく、レッドブルとともにイタリアGP2日目に臨む。
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