【F1シンガポールGP予選の要点】コース特性も味方にサインツが2戦連続PP。レースでは“ふたつの有利な点”を活かせるか
前戦イタリアGPに続いて、F1第16戦シンガポールGPでフェラーリのカルロス・サインツがポールポジションを獲得した。
いうまでもなくモンツァはストレート主体の高速コースであり、今週末のシンガポールは対照的に直角コーナーの連続する市街地サーキットだ。両者のコース特性は、まったく違う。
それでもこのふたつのサーキットでフェラーリが速さを見せたのは、ひとつは彼らが苦手とする長く回り込むコーナーがないことによる(最近の数戦で言えば、ハンガロリンクやザントフォールトで苦しんだのと対照的だ)。そして何より今季のフェラーリSF-23は、予選一発が速い。言い換えればレースでは、失速するパターンを繰り返してきた。
タイヤへの入力が大きい特性が、予選ではすぐに速さを発揮する美点となり、長丁場のレースではタイヤがオーバーヒートする欠点となってしまう。前戦イタリアGPはまさにその典型で、序盤にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、中盤はセルジオ・ペレス(レッドブル)への防御でタイヤを使いすぎたことも大きかったが、無敵レッドブル相手では3位表彰台が精一杯だった。
今回も同じパターンを繰り返す恐れが、ないわけではない。ただしモンツァに比べると、フェラーリに有利な点がふたつある。ひとつはレッドブルの不振だ。第2戦サウジアラビアGPの15番手に次ぐ今季ワーストの11番手に終わったフェルスタッペンは、「予選に向けてのセットアップ変更で、大失敗した」「まともに運転できる状態ではなかった」と言っている。
セルジオ・ペレスも13番手。ロングランペースは悪くないだけに、後方からある程度の追い上げは可能だろう。しかしここはモナコほどではないが、追い越しは極めて難しい。フェルスタッペンはもはや「連勝記録は忘れてくれ」と言っている。
そしてフェラーリにとってのもうひとつの有利な点が、決勝での路面温度の低さだ。前戦モンツァは、42度強で始まって、終了時でも38度あった。それがシンガポールでは、スタート時からほぼ変動なく34度前後のままだ。同じC3〜C5のコンパウンドを使うなか、この低い路面温度はかなりフェラーリの助けになるはずだ。
一方で今回は、レッドブルに代わってメルセデスというライバルがいる。シャルル・ルクレール(フェラーリ)を1000分7秒差で下してフロントロウを獲得したジョージ・ラッセルは、ロングランペースにも自信を持っている。ルイス・ハミルトンは5番手に終わったものの、現役最多の4勝を挙げているシンガポールこそが、今季最も勝てそうなサーキットと考えているはずだ。いずれにしても今季15戦目にして初めて、フェラーリVSメルセデスのガチンコ勝負という展開のレースになることは間違いなさそうだ。
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