元F1王者バトン、カタールでは高い横Gもドライバーに影響したと指摘「健康を損なう状況で競争させてはならない」
元F1チャンピオンのジェンソン・バトンによると、F1第18戦カタールGPが行われたロサイル・インターナショナル・サーキットでドライバーの体力が削られた最大の要因は、長時間に渡ってドライバーの身体に掛かり続けた高いGフォースにあるという。
レースは極めて高温多湿の環境下で行われ、終了後に数人のドライバーが昏倒しそうになった。ウイリアムズのローガン・サージェントは残り17周というところで熱中症によりリタイアを余儀なくされ、またアルピーヌのエステバン・オコンはレース中にヘルメットの中で嘔吐してしまった。
ドライバーが苦痛を味わったことで、FIAは今後のレースにおいて過酷な環境の影響を和らげ、ドライバーの耐久力を高めるために何ができるか、対策の検討に入った。 しかしバトンは、過酷な環境はもちろんドライバーに負担を強いたが、状況を悪化させた最も大きな要因はコースの高いGフォースにあるとみている。
「彼らはトップアスリートではあるが、健康を損なったり危険に直面したりする状況で競争させてはならない」とバトンは先週末、ロード・アトランタで開催されたプチ・ル・マンのイベントで語った。
「僕自身は暑さはそれほど感じなかったが、カタールで大きな問題となるのが、コースを走行中ずっと高いGがかかり続けるということだ。高温ということならば、過去にも高温下で行われたレースはたくさんあった」
「だが最も大きな問題は、ドライバーの身体にあまりにも長時間、高い横Gがかかるために、呼吸ができなくなることだ。血液中に酸素を取り込めなくなる。それが最大の問題だ」
バトンは、過酷な環境にどう対処するべきか、ドライバーが取れる方策は現状では限られていることを認めた。その上で、もしドライバーが声をあげなければ、状況は改善されないだろうと付け加えた。
「インディカーのコクピットはどちらかというと閉じており、内部が暑いのは間違いない。またパワーステアリングがないことも知っている。インディカーも過酷な環境であることは確かだ。しかしインディカーにはF1マシンのようなGは(ロードコースでは)かからない」
「オースティンでNASCARに参戦した時は、レース中に止まってしまいそうになった。『もう走れない』とチームに伝えた。とにかく暑すぎた。だからマシンの種類によって、熱の問題というのはさまざまだ」
「ドライバーが声をあげないかぎり、状況は改善しない。F1のマレーシアGPで走ったときのことだが、ウォーターボトルが壊れてしまい、大いに苦戦した。身体が震え始め、目がかすんでくる。そうなると危険だ。だから僕は最悪の状況というものを経験したことがある」
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