FIA会長、F1の最大罰金額を約1億6000万円に引き上げた理由を説明。使い道は「“草の根レベル”に再投資」

 

 FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、FIAがチームに科す罰金の上限を引き上げる決定を下したことを正当化し、「あらゆるものの価格が上がっている」と主張している。

 F1第19戦アメリカGPに先立ちFIAは、国際競技規則に定められているように、F1を含む数カテゴリーのレースにおける罰金による制裁を調整したと発表した。この発表のなかでFIAは、2012年に設定された上限基準がもはや「モータースポーツの現在のニーズ」を反映していないと感じられたためだと述べている。

 この決定は、F1ドライバーたちから幅広い批判を浴びた。GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務めるジョージ・ラッセルは、25万ユーロ(約4000万円)から100万ユーロ(約1億6000万円)という値上げの幅について「ばかげているし常識外れだ」と声を上げた。ラッセルは、グリッドの半分はそのような高額の罰金を支払う能力がないだろうと主張した。

 ビン・スライエムはFIAの新たなポリシーについて詳しく述べたが、「あらゆるものの価格が上がっている」とかなり単純化した主張をした。

「各チームは、チームの価値について数十億単位の話をしているが、ジュラシックパークほど古い我々のレギュレーションはいまだ改善されていない」とビン・スライエムはが語ったと『Speedcafe』は報じた。

「我々は、『さっさと支払え』と言っているのではない。『不必要なペナルティを作るな』と言っているのだ。そうしなければ罰金が科されることもない。ルールに従っていれば、誰も何かを科すようなことはしない。ルールは取締りと施行のために存在する」

2023年F1第18戦カタールGP FIAのモハメド・ビン・スライエム会長
2023年F1第18戦カタールGP FIAのモハメド・ビン・スライエム会長

 またビン・スライエムは、競技者に100万ユーロ(約1億6000万円)の罰金を科すことを正当化する明確な違反の例を示すことには消極的で、制裁の可能性に関してはスチュワードが最終判断を下すだろうと述べた。

「ルールを守れば、誰も何も言わないし請求することもない。人々はこのことについて誇張しすぎている」

「そして誰かが罰せられた場合、罰金はどこへ行くのか? (モータースポーツの)草の根へ、スポーツに再投資されるのだ」

「彼らが不正行為をせずにルールを遵守し、スチュワードの状況を楽にしてくれるよう望んでいる。我々は彼らがそこ(100万ユーロ)に達することを明らかに望んでないし、そうしないでほしいと言っている。ルールが存在しており、ルールには透明性がある。隠すことは何もない」

「しかしなぜ100万が科せられるのかは説明できない。それはスチュワードの担当で、会長のやることではない。スチュワードがいる。彼らは経験豊富で、何をすべきかわかっている。そしてドライバーたちは非常に知的だ。彼らはマシンに乗り込む前にルールを理解している」

 多くのドライバーが100万ユーロ(約1億6000万円)を支払うことはできないだろうと指摘されたビン・スライエムは、この議論を退けた。

「これはお金の問題ではない。ルールを守ることがすべてだ。FIAはルールを施行し、統治する権限を持たなければならない。我々のスポーツにおいて強力なガバナンスを持たなかったらどうなるだろか?」

「我々はガバナンスに関心を持っている。ルールが破られた場合にレギュレーションを非常に明確にするためだ」

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