【F1サンパウロGP予選の要点】悪天候に翻弄されたQ3。“パフォーマンスを犠牲にした安全策”もタイム差が開いた一因か
F1第21戦サンパウロGP予選は、終盤にグランドスタンドの屋根が倒壊するほどの悪天候に見舞われ、Q3は最初のアタックを終えただけで赤旗終了となった。その結果、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得、0.294秒落ちでシャルル・ルクレール(フェラーリ)がフロントロウに並んだ。
さらに約コンマ6秒落ちでアストンマーティンが2列目。去年フロントロウを独占し、レースでもワンツーフィニッシュを果たしたメルセデスは3列目、Q2でトップタイムを叩き出したランド・ノリス(マクラーレン)は、7番手にとどまった。何よりQ1では全20台のラップタイムが1秒以内にひしめく超接戦だったのが、Q3ではフェルスタッペンから9番手セルジオ・ペレス(レッドブル)の差が(黄旗の影響もあったとはいえ)1秒6と大きくばらけている。
その結果を見る限り、やはりこの悪天候が少なからぬ影響を与え、本来のマシン戦闘力を発揮しきれなかったドライバーが多かった印象だ。嵐が襲来する予兆として路面温度が急激に6度近く下り、風向きは目まぐるしく変わっていた。
ノリスのチームメイトのオスカー・ピアストリがQ3のアタック中にコースオフを喫し、10番手に終わったのも、これらの影響でグリップレベルが一気に下がったからだった。一方のノリスは挙動を大きく乱すことこそなかったものの、「ポールポジションを狙える速さは十分にあった。タイムをまとめることができなかった」と、悔しさを隠さなかった。
去年ここで速さを見せたメルセデスも、マシンバランスの悪さに手こずっていた。特にジョージ・ラッセルは、グリップ不足を訴えていた。ただし上述した風や路面温度低下の影響だけで、はたしてポールシッターのフェルスタッペンからコンマ7〜8秒の大差がつくものだろうか。
実は今週末のサンパウロGPでは、2戦前のアメリカGPで起きたプランク(スキッドブロック)の摩耗による失格の懸念を、ラッセルを始め何人ものドライバーが表明している。アメリカGPと同じスプリントフォーマットのために、フリー走行を1回終えただけでパルクフェルメに入れられ、最適な車高調整を含め、それ以降車体はいじれなくなる。そしてインテルラゴスはサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)と同様、非常にバンピーな路面でフロア下を削りやすい。
アメリカGPではフェルスタッペン、ノリス、ルクレール、ハミルトンの4台が検査を受け、ルクレールとハミルトンのプランクが規定以上に摩耗しているとして失格となった。ハミルトンはこれで2位表彰台をふいにしているだけに、今回はパフォーマンスをある程度犠牲にしても車高を上げる安全策を、メルセデスは取ったのかもしれない。
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