ルクレール、失意の6位。フェラーリのタイヤ戦略大失敗「なんでハードタイヤを履かせたんだ……」
F1ハンガリーGPを6位で終えたシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、苦戦の原因となったタイヤ戦略について、理解できないと語った。
ルクレールはミディアムタイヤを履き、3番グリッドからスタート。上位陣では少し遅めの、21周終わりで最初のピットインを行なった。ルクレールは第2スティントで、ポールシッターのジョージ・ラッセル(メルセデス)をパスして首位に浮上したものの、39周終了時点で再度ピットイン。第2スティントは、わずか17周でミディアムタイヤを履き替えることになった。
フェラーリは第3スティントのルクレールにハードタイヤを履かせ、70周のレースを走りきらせようとしたが、これが大誤算。ルクレールのペースは悪く、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に抜かれただけでなく、ラッセルにも抜き返されてしまった。
結局、ルクレールは54周終わりに3度目のピットイン。ソフトタイヤに履き替え、6位でレースを終えた。
結果として、フェラーリはタイヤ戦略を間違えたと言えるだろう。ミディアム→ハードタイヤの1ストップ戦略を採っていたアルピーヌの2台が、ハードタイヤで苦しんでいたという情報を各チームが得ていたはずだ。そして、この決定はミディアムタイヤでの第2スティントを延長し、最後のスティントでソフトに履き替えたいと考えていたルクレールの意に反したものだった。
ルクレールは、クルーに忠告していたにも関わらず、なぜフェラーリが早めにハードタイヤを履かせたのか、理解できないと語った。
「2回目のスティントはもっと長くすべきだったと思う」
「最初のスティントはストップすべきタイミングだったし、そこで正しい選択をした。でも2回目のスティントは、なぜ短くしたのかよく分からない」
「ミディアムでできる限り長く走りたいと伝えていたのに、かなり早めにピットインしてハードタイヤに交換してしまったから、その理由を理解しなければならない」
「ハードタイヤは信じられないほど難しかったから、かなり早いタイミングでもう一度ピットインしなければならなかった」
ルクレールが想定していた戦略を採ったのが、ルイス・ハミルトン(メルセデス)やルクレールのチームメイトであるカルロス・サインツJr.だろう。
サインツJr.はルクレールよりも4周早く最初のピットインを行なった。そしてルクレールの惨状を目の当たりにしたことで、47周まで2度目のピットインを遅らせフィニッシュまでソフトタイヤで走った。
ハミルトンは、さらに遅い51周時点で2度目のピットイン。ソフトタイヤで好ペースを維持し、チームメイトのラッセルを抜いて2位となっている。
ルクレールは、フェラーリがフェルスタッペンの2回目のピットストップに反応し、自分をピットに入れたのではないかと疑っている。彼は、フェルスタッペンに反応することなく、最適な戦略に従うべきだったと話した。
「あれは僕らにプレッシャーをかけようとしていたのだと確信しているけど、それに反応すべきではなかったと思う」
「雪だるま式に、僕たちは多くのモノを失ってしまったんだ」
フェルスタッペンは、ソフトタイヤで10番手からスタートし、ミディアム→ミディアムと交換するハミルトンとは真逆のタイヤ戦略。2度目のピットストップは38周と早めだが、レースの約半分となる32周をミディアムタイヤで走っている。
フェルスタッペンとのポイント差を縮める大チャンスだった今回のレースだが、終わってみればむしろ差を広げられる結果に。フェルスタッペンとルクレールのポイント差は80ポイントまで拡大した。
これはフェルスタッペンが3戦連続でノーポイントに終わり、ルクレールが3連勝とファステストラップ3回を記録しても逆転できないほどの大差だ。
フェラーリの今回の失態は、自身のタイトル争いにおいてどんな意味を持つのか尋ねられたルクレールは、チャンピオンシップのことを考えている場合ではないと語った。
「正直なところ、チャンピオンシップのことを考える前に、チームとしてもっと良くなるために何をすべきかを理解する必要がある」
「もちろん、こんなレースは悔しいし、全体として良くなっていかなければならない。信頼性の問題やミスなど、常に何かが起こっているように感じる」
「でも、僕たちは週末をもっとうまくまとめあげる必要がある。そして、この数日間をリセットするために使うだけじゃなくて、より良くなるために何ができるかを分析し、理解することが非常に重要なんだ」
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