ロシア人ドライバーはできるだけ早いF1復帰を切望。クビアト「F1は僕の心の特別な場所を占めている」
ダニール・クビアトとニキータ・マゼピンは、今もF1世界選手権への復帰を夢見ており、ロシアによるウクライナ侵攻を非難するFIA文書にサインしていないロシア人ドライバーの追放がすぐに中止され、国際的なレーシングキャリアを再開できることを願っている。
クビアトは2017年のシーズン中にトロロッソ(現アルファタウリ)を解雇されたが、2019年にF1に復帰。2020年限りで再びシートを失うと、2021年はアルピーヌのリザーブドライバーに就任した。今年はNASCARカップシリーズがFIA統括のチャンピオンシップではないことを利用して、アメリカでレースに復帰している。その前にはロマン・ルシノフが後援するGドライブ・レーシングからWEC世界耐久選手権に参戦する計画があったが、ルシノフがFIAの文書にサインすることを拒否したため棚上げとなり、彼は国際レースから引き上げてしまった。
バルセロナでのプレシーズンテスト後すぐにハースから解雇されたマゼピンは母国に戻り、ロシアのラリーレイドに参加し始めた。来年国際的なキャリアを再開するために、レースの勘を研ぎ澄ましておくためだ。
ロシアのパスポートを持っていること以外にふたりのドライバーの間に共通することはほとんどない。クビアトは少年時代からほぼイタリアかモナコで過ごしており、イタリア語と英語に堪能だ。クビアトは彼のトレーナーか、時には父親と移動していた。
一方のマゼピンはジュニアクラスのキャリアをイギリスで始めたが、拠点はロシアに置いたままだった。常に父親のドミトリーとマネージャー、トレーナー、数人の友人、また父親の友人たちと移動し、チームと行動することはなかった。クビアトがトロロッソで好かれており、要求の厳しいレッドブル上層部とうまくやっていたのはそれが理由だろう。一方のマゼピンはハースに馴染もうとはしなかった。彼のグループはハースの一員としてというよりも、一線を引いてチーム内の一部門として機能していた。
現在置かれている状況についての彼らの視点もまたかなり異なっているが、クビアトとマゼピンの目標はまったく同じだ。それはできるだけ早くF1に復帰するということだ。以前はトロロッソとレッドブルに所属し、アルピーヌのリザーブドライバーも務めたクビアトは、イタリアGPの週末に次のように語った。
「F1復帰のための理想的なタイミングではないが、何が起きるか分からないものだ。F1は僕の心の特別な場所を占めている。いつかまたそのことを話せるようになることを願っている。どうなるかは分からないからね。結局のところ、少しの間があいても復帰してうまくやっていけることは、他の人たちが証明している」
クビアトが政治的な意見を控えた一方で、マゼピンは自身の立場を擁護して、「アスリートが中立でいられるチャンスを求めている。でも僕たちアスリートも他の誰でも、それぞれの選択をすることができる。シュワルツマンがやったようにね」とマゼピンはフェラーリの若手テストドライバーに言及した。ロバート・シュワルツマンは現在イスラエルのレーシングライセンスを所持している。シュワルツマンはロシア人の両親を持つが、テルアビブ生まれだ。
「スポーツのために国を捨てるかどうかは、それぞれが自分で決めればいい。けれど僕はこういうことはしない」
またマゼピンはハースに対する訴訟の状況について説明し、自身は不当解雇の被害者だと主張した。
「重要なのは訴訟を起こすことだが、訴訟は受理された。現時点で被告側のハースF1チームは、裁判所からの通知に対して30日以内に返答しなければならない。具体的にいつ、スイスのどこで審理が行われるのか、もうすぐ分かるだろう」
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