レース短縮時の規則に不備か。中断後、再開時の取り扱いに関する記載はなし、レッドブルF1代表は「ミス」と指摘

 

 FIAは2022年F1第18戦日本GPのようにレースが短縮された場合、終了時にフルではない、低減されたポイントが与えられるルールを作ったが、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、そのルールに不備があったと主張している。

 もっともホーナー曰く、鈴鹿サーキットの現場にいたFIAのスチュワード陣がルール適用でミスを犯したのではなく、2022年に行われたルール変更の文言自体にそもそも問題があったという。

 パドックにいたほとんどの人々は、レースが規定周回数の75%に達することなく終了した場合、通常のポイントの半分のみが与えられると考えていた。ところが、新ルールに従うと、そうはならないことが判明した。昨年のベルギーGPは幻滅する結果となったが、それを受けて行われたルール変更では、中断されて再開したレースの取り扱いについて規定がなかったのだ。

 ルールで規定されていたのは、中断して再開しなかったレースの場合だ。日本GPはレースが再開し、チェッカーフラッグが振られた時点で続行中だったので、フルポイントが与えられた。その結果、マックス・フェルスタッペンのF1チャンピオンシップ連覇は、アメリカGPまで待たず今回の日本GPで決定することになった。

2022年F1第18戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がドライバーズタイトルを獲得
2022年F1第18戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がドライバーズタイトルを獲得

「昨年のベルギーGPで起きた問題に対処した時に、今回のようなケースを含めなかったのはミスだと思う。ルール変更は荒削り過ぎた」とレース終了後にホーナーは述べた。

「こちらとしては、レース周回数の75%が達成されてはじめてフルポイントが与えられると思い込んでいた。結局1点足りないという雰囲気だった」

 フルポイントが与えられたとしても、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が5秒のペナルティを受けていなければ、数字の上でまだタイトル争いに残っていたはずだった。しかしルクレールは、セルジオ・ペレスに追撃され順位を守ろうとした結果、コースを逸れてしまった。そしてペナルティを受けて3位へと後退した。

「蓋を開けてみると、セルジオ・ペレスがルクレールにプレッシャーを与えたことでフェルスタッペンの王座が確定した。本人も驚いたし、チームも驚いた。驚きは驚きでも、こういう驚きは大歓迎だ!」

 フェラーリF1チーム代表マッティア・ビノットも、新ルールの解釈について曖昧な部分があり、「我々も混乱していた。フルポイントは与えられないと解釈していた」と認めた。

「だから、当初のこちらの計算では、フェルスタッペンのチャンピオン決定はまだだった」

「その後事情の説明があったが、特に異論はなく、納得できた。だからそれを受け入れたよ。別にどうにもならない。フェルスタッペンがチャンピオンだ。それで一件落着だ」

 マクラーレンF1チームの代表であるアンドレアス・ザイドルは、シーズン終了後にあらためてルールを見直す必要があると述べた。

「結局、今日のポイントの付け方はみんなの予想とは異なっていた。しかしFIAやチームがそうしようと思ってやったことではない」

「しかしそうなってみると、これは私たち全員が見逃していた穴だから、私たち全員に責任があるとも言える。次からはともに協力し、もっといい仕事をする必要があるということだ」

 ホーナーも、ルールを見直す必要があることを認めた。

「見直しは必須だろう。今日に関して言えば、FIAが行ったルール解釈は妥当だったと思う。見直しをして、議論するべきだ。だが今の時点で結論に飛びつくつもりはない」

「細かい部分だが、正確に何を意図した条文なのか、今後のためにはっきりさせておかなければならない。

「我々のスポーティング部門にも今一度確認したい。端的に言ってどう理解するべきなのか、どういう結論が導かれるのか、本来の意図と比較して、文言の書かれ方や解釈のされ方はどうなのか」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第18戦日本GP セーフティカーの後ろを走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 パドックではもうひとつ別の議論も起きていた。レース時間の制限に関するルールに従った周回数よりも、1周早くレースが終わってしまったというのだ。

 途中で終わってしまったレースの場合、規定ではそれまでに完了した周回の結果をもって最終結果とすることになっている。もしその規定を適用すると、28周目はノーカウントとなるはずであり、ルクレールはそもそもペナルティを受けないことになるので、チャンピオン争いから脱落はしていなかった。

 しかしこの面倒な問題をほじくり返そうというチームはないようだ。フェラーリがルクレールのペナルティを受け入れると明言したあとでは、見直しを求めたり異議申し立てをしたりする気運も起きそうにない。FIAは、赤旗が振られる前にまだコース上にマシンがいたのに、回収作業車にコースに入る許可を出していたことを認めた。なぜそのような事態になったのか、検証するだけでもFIAにとっては手いっぱいとなる。

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