F1マシンの後方視界改善に苦慮するFIA。リヤビューカメラ導入には問題点、2023年にはミラーサイズ拡大で対応
F1ドライバーたちが長年、後方視界の悪さを訴えているため、以前からF1マシンにリヤビューカメラを設置し、車内のスクリーンで映像を流すという方法を取り入れることが検討されている。しかしFIAのシングルシーター・テクニカルディレクターのニコラス・トンバジスは、このソリューションにはいくつかの問題点があるとして、現時点では導入できないと述べている。
カメラにより後方の映像を撮影し、リアルタイムで車内のディスプレイで表示すれば、ドライバーは、後方で起きていることを今よりはるかによく把握できるようになる。しかし、トンバジスは、「それについては検討しているが、解決しなければならない問題が3つある」と語った。
「第一に、コクピット内にTVスクリーンを設置するだけのスペースの余裕がない。次に、これは時にクローズドコクピットのマシンで使用されてきて、その場合は車内が比較的暗いが、日光が当たるとどうなるか、ということだ。たとえば、太陽の光が当たるところでスマホを見ると分かるが、画面を見ようとすると目を細めなければならない。つまり、第二の問題点は、真っ昼間の光のなかでの実際の視認性だ」
「第三は、ドライバーの焦点の適応にはある程度の時間を要するという問題だ。遠くにある次のコーナーや他のマシンを見てから、目の前の数センチの距離にあるディスプレイに再び目を向けるまでの時間だ。そういったことを考えると多少懸念があるので、慎重に評価する必要がある」
「F1マシンのスピードでは、適応するのに0.5秒を失うわけにはいかない。従って我々は、これについて検討しており、同じことを行うのにオーディオシグナルなど他の方法があるかもしれないが、今も検討中の段階だ」
2023年には、ミラーのサイズが変更され、今年までの幅150mmが200mmに拡大される。
「ミラーのサイズを少し大きくすることにした。150mmから200mmに変更したのだ」とトンバジスは言う。
「それにより、後方の視野の角度が改善される。だが、すでに大きく湾曲したミラーを使っているドライバーもいるので、そういう場合は大きな違いは表れない。一方、極端に湾曲したミラーを好まないドライバーもいる。視界がゆがみすぎるというのが理由であり、ドライバーによって好みが異なる」
「だが我々が行った変更は、これまでと比較してドライバーの視界を向上させるものであると、私は考えている」
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