アルピーヌCEOローラン・ロッシが2023年ここまでのアルピーヌF1チームのパフォーマンスを激しく非難したことについて、チーム代表オットマー・サフナウアーは、冷静な反応を示した。ロッシは責任はサフナウアー代表にあるとして公然と批判、その意図はサフナウアーを辞任に追い込むことかもしれないが、それは今のところうまくいっていないようだ。

　ロッシは、F1マイアミGP中にふたつのインタビューに応じ、アルピーヌF1のパフォーマンス不足と運営上のミスを強く非難し、その責任は代表サフナウアーにあると断言した。2022年にコンストラクターズ選手権4位を獲得したアルピーヌは、今年は最初の5戦のなかで14ポイントしか獲得しておらず、マクラーレンと同点のランキング6位に沈んでいる。

　マイアミにおいて、ロッシのインタビューについて尋ねられたサフナウアーは、冷静に次のように答えた。

「見出しは見たけれど、内容については、時間がなくてまだ読んでいない。確かにバクーではパフォーマンス不足だった。オーストラリアではドライバーがチームメイト同士でクラッシュし、開幕戦では多数のペナルティを受けた。つまり、シーズン序盤は順調だったとはいえない。だから彼（ロッシ）はそういうコメントをしたのかもしれない。ちゃんと読んでみないと分からないが」

　おそらく、CEOの発言を取り上げないことで事を荒立てないようにしているサフナウアーは、シーズン序盤のチームの問題点について、次のように説明した。

「我々にできることは、バクーのような（パワーユニットの）問題が発生したときには、まずなぜそれが起こったのかという根本原因を理解し、それを再発させないためのプロセスや人材を配置することだ」

「エンジンの出火は、再び起こらないようにする必要がある。一方で、人為的なミスもあった。それが起きた理由を理解すれば、再発を防止するための策を講じることができる。我々がすべきことはそういったことであり、すでに行動に移しており、ここでは問題が起こらなかった」

　ロッシは主にレースチームに批判の矛先を向けていたものの、サフナウアーは、責任はレースチームとファクトリーの両方にあると述べた。

「実際にはふたつの別々のものだ。マシンの究極のパフォーマンスがなぜ発揮されないのかを理解する必要がある。失敗があるかどうかにかかわらず、その究極のパフォーマンスを引き出す取り組みは、ここで行われる」

「両方の側で修正をする必要がある。F1で最も難しいことは、マシンに究極のパフォーマンスを持たせることだ。それはサーキットで行われることではない。ここにいるスタッフはわずか100人だ。（ファクトリーで）パフォーマンスのために働いているスタッフは900人いて、合計で1000人になる。そして、サーキットで作業をしているスタッフのなかにはマーケティング担当者などもいるため、100人のうちパフォーマンスを引き出すことに携わっているのはその半分だけなのだ」

「つまりマシンパフォーマンスのための作業の大部分は、エンストンとヴィリー（のファクトリー）で行われている。サーキットでは、ミスを犯さないようにしたり、エンジンの出火が起きないようにしたり、1時間のプラクティスしかなくても決勝に向けてセットアップを間違えないようにするといったことを心がけている。残念ながらバクーではミスが起きてしまった。最悪の状況とは言わないが、同じことがここで起きていたら、FP2で修正することができ、問題なく週末を過ごせただろう。だが、バクーではパルクフェルメに入ってしまうと、何ひとつ変えられなくなる」

　ロッシのインタビューの後、彼と話をしたかと聞かれたサフナウアーは、その時点では話をしていないと言った後で、こう付け加えた。

「そういうものを読むことによって、プレッシャーが増すことはない。ここでは皆がより良い結果を出すことを望んでいる。彼らは経験豊富で非常にレベルの高い技術者やエンジニアたちだ。我々は自分で自分自身にプレッシャーをかけている。問題点を修復していくだけだ」

「彼（ロッシ）がなぜそういうことを言おうと決めたのか、私には分からない。皆さんはそれについては彼に聞いてみるしかない。私も彼に聞いてみるつもりだ。今週末はとても忙しかったので、話す機会を持てなかったが」