【F1技術解説:第4&5戦】中団トップの座を争うアルピーヌとマクラーレンが導入した新フロア

 

 各F1チームのアップデートをF1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、現在ランキング5位と6位に同点で並ぶマクラーレンとアルピーヌがアゼルバイジャン/マイアミの連戦に導入した新パーツに注目する。

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 アルピーヌは第4戦アゼルバイジャンGPで、まったく新しいフロアを投入した。まずマシン正面から見ると、ベンチュリートンネル開口部のデザインが変更されているのがわかる。インレットの形状はより湾曲し(黄色矢印参照)、入口の垂直の仕切りの形状も変わっている(青矢印参照)。さらに外側のデフレクターは平坦でなくなり(赤矢印を比較)、少し短くなっている(白矢印参照)。

アルピーヌA523フロア比較
アルピーヌA523フロア比較

 フロアエッジについては、下の画像での各矢印が示すように、数カ所で微妙に形状が変更されている。最も目につくのはリヤタイヤの前で、メルボルンまでは見られた段差がなくなり平坦になっている(黄色矢印参照)。さらに下側のデザインも一新された。テクニカルディレクター、マット・ハーマンによれば、「圧力分布を変更したことで、全体としてより大きなダウンフォースを発生させる」とのことだ。

アルピーヌA523フロア比較
アルピーヌA523フロア比較

 しかし残念ながらアゼルバイジャンでの両ドライバーは信頼性の問題に見舞われ(ピエール・ガスリーは金曜と土曜に油圧漏れ、エステバン・オコンは金曜にトランスミッションの問題)、エンジニアたちはバクーに適したセットアップを見つけることも、アップデートを適切に評価することもできなかった。

 それでも2連戦となったマイアミはほぼトラブルフリーの週末を送ることができ、予選ではガスリーが5番手、オコンが8番手と揃ってトップ10グリッドを獲得。全20台が完走した決勝レースでも、ガスリー8位、オコン9位と、望みうる最良の結果を出した。アップデートの効果は、一定程度出たと言っていいだろう。

 マクラーレンもアゼルバイジャンでアルピーヌ同様、新しいフロアを導入した。特にフロアエッジに数々の改良を施した(各色の矢印参照)。「スプリントフォーマットのため走行時間は限られたものだったが、より有益な開発を行うための作業ベースという意味で、一歩前進できた」と、アンドレア・ステラ代表は評価していた。

マクラーレンMCL60フロア比較
マクラーレンMCL60フロア比較
マクラーレンMCL60フロア比較
マクラーレンMCL60フロア比較

 ランド・ノリスは、「バクー市街地サーキットの特徴である低速コーナーでは、新機能のパッケージはあまり役に立たなかった。でもマイアミでは、中速コーナーでアップデートによるタイム短縮がより大きくなるはずだ」と、期待を語っていた。

 しかしマイアミでは終始グリップ不足を訴え、予選はノリス16番手、オスカー・ピアストリは19番手に沈む。さらにレースではノリスがスタート早々にニック・デ・フリースに追突されてダメージを負ったことを除いても、戦闘力不足は明らか。17位と19位という、アルピーヌとは対照的な結果に終わった。

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