2015年からのホンダF1活動まとめ。HONDAからHRCへ
5月24日(木)、ホンダは2026年よりアストンマーティンF1にパワーユニット(PU)を供給することを発表した。ホンダはF1において2015年から2021年まで第4期目の活動をしており、2022年以降はホンダとしての活動こそ終了したものの、ホンダ・レーシング(HRC)として2025年までレッドブル・パワートレインズ(RBPT)に対し現行のPUの製造や組み立て、供給を続けることが決まっている。以下はそのまとめである。
【2015年】供給チーム:マクラーレン
2013年、ホンダは2015年からPUサプライヤーとしてF1に復帰することを発表し、PUの供給先はマクラーレンであると明らかになった。しかし復帰初年度の2015年はPUの信頼性やパフォーマンスに悩まされ、車体に関しては後部を絞り込んだ『サイズゼロ』コンセプトにより冷却の問題などが発生した。フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンというF1チャンピオンふたりを擁したマクラーレン・ホンダだったが、この年のコンストラクターズ選手権では9位だった。
【2016年】供給チーム:マクラーレン
PUに関してはターボが大型化し、車体も設計を見直した。その結果予選ではたびたびQ3に進出し、決勝レースでもダブル入賞が4回と、マクラーレンとホンダ双方の努力によりパフォーマンスは2015年に比べて大幅に向上。コンストラクターズ選手権では6位と3つ順位を上げた。この年の最終戦アブダビGPをもって、バトンがF1ドライバーを引退した。
【2017年】供給チーム:マクラーレン
バトンのF1引退に伴いストフェル・バンドーンがレギュラードライバーに昇格し、アロンソとコンビに。なおアロンソがインディ500に挑戦するため第6戦モナコGPを欠場した際は、バトンが代役を務めた。
この年のPUはパワーが向上したと当時のF1プロジェクト総責任者である長谷川祐介氏は述べたが、蓋を開けてみればプレシーズンテストでトラブルが続出し、パワーも不足していた。開幕後もPUトラブルが頻発し、開幕戦から7戦連続ノーポイントという厳しい結果に。それでもなんとかアロンソ、バンドーンともに入賞しコンストラクターズ選手権の最下位を免れた。
そしてこの2017年をもってマクラーレンとの契約は解消。ホンダは2018年からザウバーにPUを供給することになったが、ザウバーのチーム代表変更に伴い契約は白紙に。かわって2018年からはトロロッソにPUを供給することが決まった。
【2018年】供給チーム:トロロッソ
この年から新たにトロロッソへPUを供給。第2戦バーレーンGPではピエール・ガスリーが4位に入賞し、2015年のF1復帰以来、最高成績となった。6月には、2019年からレッドブルにもPUを供給することが決まった。
【2019年】供給チーム:トロロッソ、レッドブル
トップチームであるレッドブルにPUを供給するも、レッドブルとアストンマーティンのタイトルスポンサー契約が継続されたため、チーム名は『アストンマーティン・レッドブル・レーシング』だった。一方でトロロッソは『レッドブル・トロロッソ・ホンダ』となり、とホンダの名前がチーム名に入った。
レッドブルのマックス・フェルスタッペンが開幕戦で3位に入賞したことにより、ホンダは第4期の活動において初めて表彰台を獲得した。その後オーストリアGPではフェルスタッペンが優勝を果たし、第4期における初優勝となった。雨のドイツGPではフェルスタッペンが優勝、トロロッソのダニール・クビアトが3位に入賞し、ダブル表彰台も記録した。さらにブラジルGPでフェルスタッペンが優勝、トロロッソのガスリーが2位と、ホンダPU勢の1-2フィニッシュも実現。
【2020年】供給チーム:レッドブル、アルファタウリ(トロロッソから名称変更)
新型コロナウイルスの影響によりシーズン開幕は7月にずれ込んだ。この年もメルセデスが圧倒的なパフォーマンスを誇り、フェルスタッペンは善戦するも優勝は2回にとどまった。しかしながらイタリアGPではレース中のピットインのタイミングが有利に働いたことでガスリーが首位に浮上し、そのまま順位を守り切ってキャリア初優勝を挙げる。なおこのイタリアGPは、アルファタウリ(前身のトロロッソ時代を含む)とホンダがタッグを組んで50戦目の節目のレースだった。
この年の10月、ホンダは2021年限りでF1での活動を終了すると発表した。ホンダは2050年にカーボンニュートラルを実現させることを目指しており、資金や人的リソースをそちらに集中させるためだと当時の社長である八郷隆弘氏は説明した。
【2021年】供給チーム:レッドブル、アルファタウリ
ホンダF1の活動最終年となった2021年、レッドブルはアレクサンダー・アルボンに代えてセルジオ・ペレスを起用。アルファタウリからは前年のFIA F2で選手権3位という成績を残した角田裕毅がF1に昇格し、7年ぶりの日本人F1ドライバーが誕生した。
この年はフェルスタッペンとメルセデスのルイス・ハミルトンによる激しいチャンピオン争いが繰り広げられ、イギリスGPやイタリアGPでは接触も発生した。同点で迎えた最終戦アブダビGPではフェルスタッペンがポールポジションを獲得。決勝ではハミルトンが首位に浮上しそのまま独走するも、レース終盤のセーフティカー運用に関するレースディレクターのヒューマンエラーがハミルトンに不利に働き、フェルスタッペンが最終ラップにハミルトンを逆転してドライバーズタイトルを獲得した。
【2022年〜】
2021年をもってF1での活動を終えたホンダは、レッドブルが設立した『レッドブル・パワートレインズ(RBPT)』にホンダの知的財産の利用権を譲渡した。さらにホンダの2輪活動を行うホンダ・レーシング(HRC)が4輪活動も担うことになり、HRCは現行のPUが使用される2025年までPUの製造や組み立て、供給を続けることが決まっている。
2022年にはF1に新しい技術規則が導入され、勢力図が変わった。コンストラクターズ選手権で8連覇を達成したメルセデスは失速し、その一方でフェラーリが台頭。しかしながら度重なる戦略ミスやドライバー自身のミス、さらにはトラブルなどに悩まされ、レッドブルとフェルスタッペンには届かなかった。フェルスタッペンは日本GPでドライバーズ選手権連覇を達成し、レッドブルはアメリカGPで悲願のコンストラクターズタイトルを獲得した。
2022年12月には、ホンダが2026年以降のPUの製造者登録を行ったことが明らかになったが、この時点ではHRCの渡辺康治社長が「製造者登録=F1の再参戦ということではない」と主張。また、2023年シーズンもレッドブルとアルファタウリのマシンに『HONDA』のロゴがつくことも発表された。
2023年4月にはホンダ第4期の立役者のひとりでもあり、PU開発責任者を務めた浅木泰昭氏が退任した。
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