【F1第14戦無線レビュー】5戦ぶりの表彰台獲得も、悔しさを見せたアロンソ「今後必ず勝つ」

 

 2023年F1第14戦オランダGP。ウエット、ドライ、再びウエットと変化した天候に振り回されるレース展開のなか、マックス・フェルスタッペンが9連勝を記録。母国グランプリで3連勝を達成した。オランダGPを無線とともに振り返る

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 復帰3年目にして、初めて雨に見舞われたオランダGP。気まぐれな天候が、多くのチームを混乱に陥れた。

フォーメーションラップ
クリス・クローニン(→フェルナンド・アロンソ):5分後に雨が来るぞ

 スタート直後の中継カメラに、早くも雨粒が付いている。最終コーナーはひどい降りだ。

 1周目の終わりにピットに飛び込んで行ったのが、セルジオ・ペレス(レッドブル)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、周冠宇(アルファロメオ)だった。

2周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→マックス・フェルスタッペン):耐えられるなら、ステイアウトだ。いや、ボックスだ

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2023年F1第14戦オランダGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は彼らの1周後に入っているが、可能ならソフトで走り続けたかったようだ。

 一方、判断がブレたのがランド・ノリス(マクラーレン)陣営だった。

ホセ・ガルシア(→ノリス):雨はそんなに降らない。このまま行って大丈夫か?
ノリス:ああ、大丈夫

 しかし雨足はどんどん強くなっていった。

3周目
ノリス:ボックスだよ! ソフトは遅すぎる
ガルシア:いや、インターより速い
ノリス:マジかよ?!

 そしてこの直後、

ノリス:ボックスだ! ピットレーンに向かった
ガルシア:わかった。インターに替える

 ノリスはエンジニアの指示を無視して、独断でピットに向かった。

 ルクレールはピットにタイヤが準備されていなかったため、せっかくの好判断にもかかわらず6番手。しかもオスカー・ピアストリ(マクラーレン)と接触して、フロントウイングにダメージを負っていた。その背後に、カルロス・サインツ(フェラーリ)が迫る。

8周目
リカルド・アダミ:シャルルはフロントウイングにダメージがある
サインツ:だったら俺を遅らせないでくれ
アダミ:了解した

シャルル・ルクレール&カルロス・サインツ(フェラーリ)
2023年F1第14戦オランダGP シャルル・ルクレール&カルロス・サインツ(フェラーリ)

 真っ先にインターミディエイトタイヤに交換したペレスが、7番グリッドから一気に首位に上がった。しかし路面は乾き始め、11周目にソフトに履き替えたフェルスタッペンがその座を奪い返した。

13周目
ペレス:マックスは、僕をアンダーカットしたの?
ヒュー・バード:そういうことだ

 一方3番グリッドスタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)は、タイヤ交換のタイミングの判断ミスで、18番手まで大きく後退した。不満をぶつけずにはいられない。

14周目
ラッセル:表彰台に上がれる予定だったよね? なぜ、こうなってるわけ?

 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)がターン8でクラッシュ。セーフティカーが導入された。

16周目
ガエタン・イエゴ:大丈夫か?
サージェント:大丈夫だけど、なぜこうなったのかわからない。縁石に乗った時、右フロントの何かが壊れた感じだ

38周目
ジェームズ・アーウィン(→アレクサンダー・アルボン):アレックス、今かなりいい位置にいる。このまま(ソフトを)引っ張ろうと思う。素晴らしい仕事をしてるぞ

 スタート直後の大雨をインターに履き替えることなく、ソフトで走り続けたアルボン。一時は15番手まで順位を落としたが、44周目まで我慢して5番手まで巻き返した。

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
2023年F1第14戦オランダGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)

43周目
グザビエ・パドロス(→ルクレール):状況はどんどん悪くなってる。ここでリタイアだ。

 41周目にピットインしたルクレールは、そのままリタイアを喫した。

 ソフトで走り続ける角田裕毅(アルファタウリ)は、明らかにグリップ不足に苦しんでいた。52周目にラッセルに抜かれる際に軽く接触してしまう。

54周目
角田:フロントウイングにダメージを受けた。チェックしてくれ

角田裕毅(アルファタウリ)
2023年F1第14戦オランダGP 角田裕毅(アルファタウリ)

55周目
ガルシア(→ノリス):雨が来たら、かなり強いぞ

60周目
ランビアーゼ:ここでボックスだ
フェルスタッペン:いや、まだ路面はドライだよ。もうちょっと待とうよ

61周目
ランビアーゼ:今がピットインに最適なタイミングだ
フェルスタッペン:わかった

 終盤60周目前後から、再び雨が降り出した。ほとんどのドライバーがインターを選択するなか、オコンだけはフルウエットタイヤを履かされた。

64周目
ジョシュ・ペケット:エステバン、これからものすごい大雨が来るんだ
オコン:これは最悪の決断だよ

 担当エンジニアのペケットが納得させようとするが、オコンは聞き入れない。ちなみにフェルスタッペンもこのあと、ウエットに履き替えた。

64周目
ペレス:ピットレーン入り口で、右側の壁に接触してしまった
バード:わかった。見てみよう

 ペレスはこのピットインの際に速度違反を起こし、5秒ペナルティ。3位表彰台をガスリーに奪われてしまう。

69周目
アダミ:あと4周、あと4周だ
サインツ:無線はもういい!

 背後に迫るハミルトンとバトル真っ最中のサインツに、能天気な無線連絡。担当ドライバーの状況を、把握してないのだろうか?

チェッカー後
ランビアーゼ:終了だ。最高の仕事だった
フェルスタッペン:天気に手こずらされたけどね。夏休み明けに、いきなり勝てた。言うことないよ

クローニン:やったぞ、P2だ。最速ラップも獲得したし
アロンソ:そうだね。僕のベストレースじゃないけど、でも今後必ず勝つからね

 赤旗中断後の67周目からのレース再開で、勝つ気満々でフェルスタッペンに勝負を挑んだアロンソにしてみれば、悔しさの勝るレースだったのだろう。

カレル・ルース:P3だ
ガスリー:レッツ・ゴ〜!! なんてレースだったんだ

角田:なぜ16位なの?
スピニ:ラッセルとの接触で、5秒ペナルティだ
角田:そうだよね。いつも僕に(ペナルティが)来るんだから

 感情を殺した口調ながら、なぜ僕だけにという思いが抑えられない角田裕毅だった。

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