ジャガーのエバンスが今季3勝目。ベルニュとの接近戦を制す|フォーミュラE第9戦決勝

 

 フォーミュラE第9戦ジャカルタePrixの決勝レースが行なわれ、ミッチ・エバンス(ジャガー)が勝利した。
 今回初開催を迎えたジャカルタePrixは、インドネシア・ジャカルタにあるリゾート地区”アンチョール”に新設された全長2.37kmのインドネシア・インターナショナル・サーキットで行なわれた。
 出来上がったばかりのサーキットということもあり、路面はスムーズ。さらにコース幅も広く、複合コーナーや中・高速コーナーが散りばめられたレイアウトだ。アタックモードはテクニカルセクションのターン16のアウト側、レーシングラインからは大きく外れた位置に設けられていた。今回は4分間、2回の使用が義務付けられていた。
 予選ではテチータ勢が速さを見せ、ジャン-エリック・ベルニュがポールポジションで、2番手にチームメイトのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ。2列目にエバンスとエドアルド・モルタラ(ヴェンチュリ)が並んだ。
 赤道直下に近いインドネシアでの開催ということもあり、決勝レース前の気温が30度、路面温度は42度で湿度は70%という過酷なコンディション。汗ばむ状況の中、多くのドライバーがクールベストを着用してレースに臨んだ。
 45分+1周の決勝レースがスタートすると、ベルニュが良い蹴り出しを見せホールショットを獲得。2番手ダ・コスタは3番手エバンスに迫られるも順位を守った。
 各車が順当にスタートを決める中、オリバー・ローランド(マヒンドラ)にはアクシデントが発生。左フロントタイヤが脱落し、ローランドはマシンを退避エリアに止めた。外れたタイヤがコース上に落ちたことでセーフティカー出動となったが、タイヤの回収が済むとすぐさまレース再開となった。
 再開後にダ・コスタがブレーキングでオーバーラン。エバンスに先行を許したが、順位をそれ以上落とさないようチームから無線が飛んだ。
 気温、路面温度が共に高いこともあり、ドライバーの肉体やタイヤのみならず、バッテリーにも厳しい。後方勢に続き3番手のダ・コスタが残り34分、エバンスもその翌周と上位勢もレースのかなり早い段階からアタックモード1回目を起動した。レースが進みバッテリー温度が上がった状態では、アタックモードでの電力消費率が高くなると踏んでの戦略だろう。
 アタックモード1回目のタイミングを遅らせたモルタラは、ダ・コスタと予選7番手からひたひたと順位を上げていたストフェル・バンドーン(メルセデス)の前3番手を走った。
 ベルニュは2回目のアタックモードも早めのタイミングで使用し、一時はエバンスに首位を譲ったものの30kWのパワーブーストを活かしてトップを奪い返した。残り16分を切ったところで、ここまで2回目のアタックモードを温存していた2番手エバンスと3番手モルタラも起動した。
 モルタラは、アタックモードに入ったことで3番手をダ・コスタに明け渡したもののすぐさま抜き返した。2番手のままアタックモードを起動できたエバンスはそのふたりを尻目にトップのベルニュを追った。
 エバンスはベルニュを追いかけ回し、残り6分というところでエバンスはターン7をワイドに走ったベルニュのインを差しトップに浮上。ベルニュはホームストレートでファンブーストを使用し首位奪還を狙うも、差を詰めただけに留まり、エバンスはファンブーストを手元に残した状態でトップを維持した。
 その後ベルニュの後方には3番手モルタラが追いつき、トップ3が数珠つなぎに。各車ともバッテリー残量2%という状況でファイナルラップへ入った。エバンスは大きくペースを落としながらも、ポジションを守りきりトップチェッカー。今季3勝目をマークした。チェッカーを受けた時のバッテリー残量はほぼゼロだった。
 ベルニュがその後ろ2位、3位にはモルタラが入った。4位ダ・コスタの後ろにドライバーズランキング首位バンドーンが入ったが、モルタラが今回表彰台に登ったことでその差は7ポイントにまで縮まった。
 なお前戦勝者であり、バンドーンのチームメイトでもあるニック・デ・フリーズは、レース終盤のパンクによりリタイアとなっている。
 
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