【F1バーレーンGP予選の要点】見えた速さのポテンシャル。決勝レースはトップ4強となるか
2023年F1第1戦バーレーンGP直前のプレシーズンテストから上位の速さを見せてきたアストンマーティン。開幕戦を迎えてもその勢いは衰えず、フェルナンド・アロンソが初日フリー走行で貫禄の総合トップタイム。2日目予選直前に行われたフリー走行3回目でも、アロンソはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に1000分の5秒差をつけて再びトップに立った。ひょっとすると今季のアストンマーティンは、王者レッドブルさえ食ってしまうのか。そんな思いさえ抱かせる速さだった。
しかし、予選が終わってみればフェルスタッペンが通算21回目のポールポジションを獲得。チームメイトのセルジオ・ペレスも2番手につけ、レッドブルが1-2という結果となった。フェルスタッペンは初日から一発の速さに苦労していただけに「まさかポールが獲れるとは思わなかった」とコメント。
「妥協したクルマでこの速さが出せた」というペレスのコメントからも、レッドブルがレースを見据えたクルマづくりをしてきたことは明らかだ。それでも予選でフロントロウを独占してしまうほど、レッドブルの2023年型マシン『RB19』は高いポテンシャルを持っているということなのだろう。
グリッド2列目はフェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツが占めた。3番手ルクレールは、フェルスタッペンから約コンマ3秒落ち(0.292秒)だった。ただしチームは、Q3であえてルクレールに最後のアタックをさせなかった。
たとえポールが獲れなくても、新品ソフトタイヤを1セット温存して決勝レースで勝負をかけるという戦略だ。フレデリック・バスール新代表率いる今季のフェラーリは、そんな柔軟な考えができるチームに変身したということか。
バーレーン・インターナショナル・サージェントはレッドブルリンク(オーストリアGP)とモントリオール市街地コース(カナダGP)に次いでオーバーテイクしやすいコースなだけに、彼らの決断が吉と出る可能性は十分にありそうだ。
そして注目のアロンソはこの4台には敵わなかったものの、メルセデスの2台を抑えて5番グリッドを獲得した。6番手ジョージ・ラッセルと0.004秒、7番手ルイス・ハミルトンとは0.048秒という超僅差ながら、3強の一角を崩した意味は大きい。テスト直前の自転車事故で右手首骨折の重傷を負い、完治とはほど遠い体調で出場したチームメイトのランス・ストロールも8番手タイムを出していることを思えば、今季のアストンマーティンの速さは本物と思っていいだろう。
あくまで一発の速さに限定してだが、今季はレッドブル、フェラーリ、アストンマーティン、メルセデスが新たなトップ4を形成したように見える。そして、それ以下の中団勢は昨年以上の接戦だった。
例えばQ1では、ハースのニコ・ヒュルケンベルグがいきなり6番手の速さを見せたが、そこから16番手のウイリアムズの新人ローガン・サージェントまでわずか0.448秒差だった。マクラーレンのランド・ノリスはそのサージェントに同一タイムまで迫られ、かろうじてQ2進出を果たした。
そんななか、アルファタウリだけはフリー走行で速さを見せられずにいた。しかし、予選で角田裕毅はQ1最後のアタックで8番手タイムを叩き出した。新品ソフトタイヤを3セット使ったとはいえ、このセッショントップのサインツから0.407秒差のタイムは大健闘と言っていいだろう。
チームメイトのニック・デ・フリースが19番手で早々にQ1敗退しただけに、なおさら角田の速さは光る。ちなみに角田は初日から予選までの全セッションでデ・フリースより上の順位につけている。
角田は最終的に予選14番手が精一杯だったが、バーレーンは2021年のF1デビュー以来2年連続で入賞を果たしている得意のサーキットだ。決勝レースでの追い上げにも期待したい。
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