【角田裕毅F1第10戦分析】ペナルティで降格、19位に。接触、コースオフによりアンダーステアの影響を受け続けたレース
F1第10戦オーストリアGPのスタート直後の1コーナーでエステバン・オコン(アルピーヌ)と接触し、フロントウイングにダメージを負った角田裕毅(アルファタウリ)。1周目にピットインし、フロントウイングを交換して、レースに復帰したものの、その後、アンダーステアに苦しんだ。
その結果、マシンが正常な状態にあっても、多くのドライバーがコース外に飛び出す9コーナーと10コーナーで4輪を脱輪するトラックリミット違反を何度となく犯すこととなった。
オーストリアGPではトラックリミット違反を合計3回犯したドライバーに黒白旗が掲示され、合計4回に達すると5秒ペナルティが科せられる。ルイス・ハミルトン(メルセデス)に続いて、角田はこのレースで2番目にそのペナルティを受けることになった。
その後もコースをはみ出した角田は、合計7回に達し、今度は10秒ペナルティを受けてしまう。
「どんな状況でもクルマをとどめて走らせるのが僕の仕事なので、それは次への課題です。難しかったことは確かです。でも、それは言い訳にはならない」と角田は、レース後のスチュワードによる検証の結果、4回のトラックリミット違反を犯していたために、さらに5秒のペナルティを科せられ、暫定18位から、完走したドライバーのなかで最下位となる19位に終わった。
なぜ、これほどまで角田はトラックリミット違反を犯し続けたのか。
「帰ってきたクルマを見て、データを分析しないと分かりませんが、その可能性は高かったと思います。運転していて、アンダーステアを強く感じていましたから」と角田は、1周目の4コーナーでコースオフしてグラベルの上を走った際に、フロアにダメージを負っていた可能性を示唆した。
1コーナーの接触は、角田がやや強引に思えるが、レーシングアクシデントの範疇で、レースを戦っている以上、防ぎようはない。しかし、4コーナーのコースオフは防ぐことができたのではないか。
角田は1周目をこう振り返る。
「1コーナーでダメージをピックアップしてしまって、その後、ダウンフォースが抜けた状態でターン4に進入しようとしたとき、ロックアップしてコースアウトしました」
接触してフロントウイングにダメージを負ったことを認識していたのであれば、ピットインは避けられない。そうなれば、1周目のポジション争いよりも、優先すべきは無事にピットに帰還することだった。それを角田だけでなく、ピットにいるエンジニアも無線で伝えるべきだったのではないか。
もし、マシンが正常で、トラックリミット違反も犯していなければ、角田は最下位に終わることもなかっただろうし、少なくともこのレースを全力で戦えていたはずだけに、悔いの残る1周目だった。
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