「今のところF1ほど僕を限界まで押し上げるものはない」引退後の生活に満足するベッテル。次の進路は未定
4度のF1世界チャンピオンであるセバスチャン・ベッテルは、F1で過ごしたなかでとても懐かしく感じていることをいくつか挙げた。ベッテルは15年以上グリッドで活躍した後、昨シーズン末でF1を引退した。
ヘルメットを脱いで以降、36歳のベッテルをパドックで目にすることはほとんどなかったが、先月開催されたグッドウッド・フェステイバル・オブ・スピードでは注目を浴びていた。彼は私的なコレクションからウイリアムズFW14BとマクラーレンMP4/8の2台のマシンを持ち込んだのだ。
ベッテルは、フォーミュラEでコースに復帰するのではないかという的はずれな憶測の渦中にもいたが、彼はすぐにそのうわさを打ち消し、どのカテゴリーでもカムバックする計画はないと主張した。
「最初の数カ月はあっという間に過ぎたけれど、自分の時間を使う自由を楽しむことができてよかった」とベッテルはレッドブルのメディア『The Red Bulletin』に語った。
「僕の引退には多くの要因が関わっていた。もうF1が好きではないから、遅すぎるから、他に本当にやりたいことがあるから、という理由で辞めたのではない。引退はとても個人的なことだ」
「僕にとって時間は決定的な要因のひとつだった。レース数が多く、仕事を適切にこなすのにどれだけの労力が必要なのかわかっていた」
「それと同時に、家には幼い子どもたちがいる。その時間は二度と戻ってこない」
ベッテルの人生の新しい章は魅力的かもしれないが、長年にわたり目まぐるしい生活を送ってきた経験豊富なベッテルが、消えない空白があるのを感じていても当然のことだ。
「僕はドライビングと競争を最後まで楽しんでいた」とベッテルは、以前の生活について一番懐かしいことは何かと尋ねられて答えた。
「それと、予選であと一回の走行しかできず、そこで目標を達成しなければならないレース上の勝負もそうだ。そういう瞬間を一番懐かしく感じるよ」
楽しいことには必ず終わりが来るものだが、キャリアと人生観の変化の観点の両方から、ベッテルはF1引退のタイミングは正しかったと考えている。
「もう特定の妥協はしたくなかった」
「それに、僕の子どもたちにはもっと僕と一緒にいる権利がある。以前は最高だと考えていた世界から、自分が少し成長したに違いない」
「かつて純白に見えたものは、ある程度色が付けられていた。目をつぶらないでいる人はだれでも、社会の発展に気づくだろう」
「F1は僕の人生の大部分を占めてきたけれど、F1は世界の人々にとっての中心ではない。違った観点から考えれば、兆しを見ることができる」
ベッテルはまだ次の人生の進路を決めておらず、かつてF1でぎっしり詰まっていた空白を埋めてはいない。しかし彼の生活の別の領域にスリルを持ち込むプロセスが進行中であり、それはエキサイティングなものだと語った。
「この決断をした時、準備は万端だった。でも予測できない要因がひとつ残っている。僕は屋外でスポーツをするのが好きだ」と環境活動家でもあるベッテルはコメントした。
「今のところ、F1ほど僕を限界まで押し上げるものはない。それが僕が一番懐かしく感じていることだ」
「ここで自分にブレーキをかけないといけない。それこそが自分自身について知りたかったことだからね。競争モードになっていないとどうなるだろう?」
「ある時点で、世界最高峰のキャリアにおける興奮状態には終わりが来る。自分で選ぼうが、たとえば怪我をして強制的にそうなろうがね」
「あとは前進して、スリルと緊張感を次のセクションに持ち込むことだ。それが簡単なことだと言っているわけでもないし、もうやったと言っているわけでもない。僕は探しているところだけれど、このプロセス自体がエキサイティングだよ」
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