3年ぶりのF1日本GPを前に、アルファタウリのふたりがレッドブル・ジャパン主催のメディアセッションに出席。その中でピエール・ガスリーは、鈴鹿は特に好きなサーキットのひとつだと語ると共に、ホンダのドライバーとして良い結果を残したいと語った。
　F1デビュー前には来日し、スーパーフォーミュラに参戦。そしてF1でも、ホンダ製パワーユニット（PU）を搭載するアルファタウリ（トロロッソ時代含む）やレッドブルのドライバーとして長く活躍するなど、日本との縁も深いガスリー。彼にとっても今回が久々の鈴鹿ということになる。
「3年ぶりに日本に戻ることができて嬉しい」
　開口一番、ガスリーはそう語った。
「日本では2017年にスーパーフォーミュラで走っていたこともあるし、日本でレースをするのがものすごく楽しみだし、とっても好きなサーキットのひとつだ」
「特にセクター1の全てが好きなんだ。ターン1からターン7までは本当に信じられないくらいだからね」
　現在アルファタウリが搭載するのは、ホンダ・レーシング（HRC）が技術支援を行なう、レッドブル・パワートレインズのPU。しかしガスリーには、「ホンダのドライバー」という意識が今もあるようだ。そしてそのホンダのドライバーとして、鈴鹿で良いレースをしたいと語る。
「日本の文化とかお互いへ対するリスペクトがあるところ、ファンの温かい歓迎など、僕としてはとても感慨深い。そして、ホンダのドライバーとしては鈴鹿サーキットで好結果を残して、みんなの期待に答えたいと思う」
「鈴鹿はテクニカルで本当にチャレンジングだ。特にセクター1をF1で走ると、Gもすごくアドレナリンが出るし、唯一無二だ。ものすごいスピードであのセクションを駆け抜けられるというのは本当に信じられないくらいだよ。他ではなかなか体験できないね」
　ガスリーはF1日本GPにこれまで3回出走。最高位は2019年の7位である。そのガスリーは鈴鹿での思い出について尋ねられると、次のように語った。
「鈴鹿サーキットでのベストレースは、予選や決勝で何回か良い結果を残せたけど……まだ傑出したモノはないから、今週末が鈴鹿サーキットでのベストレースになると良いね」
　そう語るガスリーは、次のように続ける。
「一番の思い出は、スーパーフォーミュラのために日本に初めて来た時だね」
「フランスから全く新しい場所に来て、文化も分からないし、知っている人もいなかった。だから全てが勉強だし、馴染もうと考えていた」
「初めてのテストに参加した時を今でも覚えているよ。一日の終わりにガレージを出たら、200人くらいのファンが待ち構えてくれていたんだ。当時僕は20歳だったんだけど、初めてちゃんとしたファンに会ったね。中には、僕も見たことないしどこで手に入れたのか分からない若い頃の写真を持ってきてくれた人もいた。本当のファンに会ったんだ。それってすごい体験だよね」
「逆に最悪の思い出は、タイトル争いをしていて、0.5ポイント差で迎えた2017年のスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿が台風のせいでキャンセルになったこと。今でも時々あの悪夢を見るよ」
「最終戦までタイトル争いができていたのに、あんな状況に陥ったことがなかったから、本当に、本当に残念だった。残念な気持ちで東京に帰ったことを覚えている。あれが人生で最初で最後なほど、クレイジーな状況だった」
「そういった鈴鹿での思い出を払拭して、トップ5くらいの成績を残せたらいいね」
　鈴鹿サーキットはオーバーテイクが難しいコースである。そんな中でも、あえて抜きどころはどこかと尋ねられると、「トップに立って誰も抜く必要がない状況に持ち込んでみせるよ」と答えて、会場の笑いを誘ったガスリー。隣にいたチームメイトの角田裕毅は、これに対して「僕が先頭だから、君は2番手だよ」と応じる場面もあった。
　昨シーズンは予選Q3進出の常連となり、110ポイントを獲得してランキング9位となったガスリー。しかし今季はマシンの相対的なパフォーマンスが昨年ほどではなく、一転苦しいシーズンとなっている。第17戦シンガポールGPを終えた段階では、23ポイントの獲得にとどまっている。
　そんな中でも今週末の日本GPに、ここ数戦の上向き調子の勢いを継続させたいと語った。
「6～7月くらいの5レースでは、パフォーマンス向上のためにセットアップに変更を加えたんだけど、それがうまくいかずポイントを獲れなかった。それは良いこととは言えないけど、直近4戦中3戦ではポイントも稼げているし、調子が上向いている」
「その勢いを今週末に活かしたいね」
 
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