“ショーのための赤旗”との批判に元F1ドライバーが反論「純粋に安全確保のため。面白くしようという意図などない」
元F1ドライバーで現在F1解説者を務めるマーティン・ブランドルは、F1第3戦オーストラリアGPでの終盤の赤旗導入について、レースコントロールがショーを盛り上げようとして取った行動であるとの意見に反論した。
オーストラリア決勝では3回の赤旗が導入された。1回目はアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がターン6でウォールにヒットした後、コース上に砂利がまき散らされ、デブリが落ちていたことで、その清掃のためにレースが中断された。
2回目の赤旗は、レース終盤、ケビン・マグヌッセン(ハース)がターン2の出口でコントロールを失って壁に衝突し、デブリが飛び散った後に導入された。
そして2周のスプリントという形でレースがスタンディングスタートにより再開された直後、複数のアクシデントが発生、何台もがコースアウトや接触を起こし、順位も大幅に変化した後、3回目の赤旗導入となった。
その後、全車がセーフティカー先導のもとでコースに復帰、その順位のままレースは終了した。
マグヌッセンのクラッシュの後、レースを止めずにセーフティカーやバーチャルセーフティカーで処理するべきだったとFIAを批判する者もいる。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)やレッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、レッドフラッグに関する判断に疑問を呈し、ランド・ノリス(マクラーレン)は、レースコントロールが展開を盛り上げようとするために行ったとの考えを示した。
しかしブランドルはそれに反論、すべての破片をクリアにすることが、コース上のマシンがダメージを受けたり、それ以上の危険が生じるリスクを最小限に抑えるとして、事故の後に赤旗を出すことの重要性を指摘した。
「全くそんなことはない。必要な状況としてショーを盛り上げるよう指示がなされたとは、私は考えていない」とSky F1のコメンテーターを務めるブランドルは語った。
「責任を担う人たちの身になって考えてみるべきだ。傍観者の立場で、『こうすべきだった、ああすべきだった』と言うのは簡単だ」
「2009年にフェリペ・マッサは、他車の破片がコクピットに飛んできたことで、命の危険にさらされた」
「ここ(アルバートパーク・サーキット)はストリートコースで、トラックの両側に大勢のファンがいるし、マーシャルや医療スタッフもいる。だから、路面にデブリがあって、それを時速数百マイルで跳ね飛ばすようなことはあってはならないのだ」
レース後、マグヌッセンのハースから飛んだデブリがファンに当たったという報道がなされた。その人物は重傷を負わずに済んだが、この事件は、ブランドルの主張の正しさを裏付けるものといえるかもしれない。
ブランドルは、序盤のアルボンのクラッシュ後の赤旗については、セーフティカーで処理することができたと認めている。しかしF1レースディレクターはプレッシャーのなかで瞬間的に判断を下さなければならないという難しい責任を担っていることを、他の人々は理解すべきだとも述べた。
「アレックス・アルボンがコースオフした後については、単純にセーフティカーを出して、グラベルを掃除し、マシンを片づけることができたかもしれない。この件については、赤旗は少し不要に思えた。だがレース終盤には、コース上にタイヤやホイール、そして多数のデブリが落ちていた」
「この時に、『もうちょっと面白くしよう』と言う人間などひとりもいないと、私は確信している」
「(2019年の)メルボルンで、悲しいことに我々は(F1レースディレクターの)チャーリー・ホワイティングを失った。その後、マイケル・マシの時代になり、2021年アブダビではああいうことが起きた」
「その後、複数の人間で役割を分担することになり、今はニールス・ヴィティヒが担当している」
「彼が正しい判断を下しているのかどうかということだが、結局のところ、我々は、誰かが死亡したり負傷したりしても、1パーセントの責任すら負わずに、ここにこうして座っていられる立場なのだ」
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