F1第13戦技術解説(1)モナコで確かな改善を果たしたメルセデスの最新アップグレード
2023年F1第13戦ベルギーGPの各マシンを観察したF1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルが、細部の画像を紹介するとともに、注目点について解説する(全3回)。
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5月のマイアミGP以来となる1-2フィニッシュを果たし、揺るがない強さを見せたレッドブル。その後方では、フェラーリがメルセデスとマクラーレンを抑えてレースを盛り上げた。今回、フェラーリにおよばなかったメルセデスだが、この週末、アップグレードを持ち込み、堅実にポイントを稼いだ。
ルイス・ハミルトンは、スパで4位に入った。今季ここまで12戦すべてでポイントを獲得しているドライバーは、マックス・フェルスタッペン、フェルナンド・アロンソ、そしてハミルトンの3人だけだ。さらにファステストラップを記録したことで1ポイントを追加し、暫定ドライバーズランキングでは3位アロンソに1ポイント差まで迫った。
モナコGPでの大規模なアップデート以降、W14は全体的に向上した。モナコGP前のメルセデスは、1レース平均19.2ポイントを獲得していた。それがモナコ以降は、21.6ポイントに上昇した。わずかなポイント差ではあるが、改善は確かと言える。
「モナコ以来、僕らが進化しているのは間違いない」と、7度の世界チャンピオンは総括する。
「マシンを機能させるために、どういう状態に持っていったらいいのかについて理解を深めた。マシンはより安定し、表彰台に上る回数もトップ5に入る回数も増えている。信頼性も向上した」
一方で、不満な点も少なくない。
「まだバランスは完璧ではないし、何よりダウンフォースが足りない。ダウンフォースは、十分すぎるということはないからね。今シーズンの目標は、コンストラクターズ選手権での2位。そして僕自身は、ドライバーズ選手権での3位獲得だ」
ベルギーGPでメルセデスは、モナコとハンガリーに続く大規模なアップデートを投入した。今回の変更では、上の画像の黄色い矢印で示したように、エアインテークの開口部が大きくなっている。「郵便受け」と称されるほどに開口部を狭めてきたレッドブルのハンガリーでのアップデートとは、一見すると真逆の変更だ。
それについてメルセデスの技術陣は、こう説明している。「吸気口が大きくなることで、ラジエターへのエアフロー(空気の流れ)の質が向上する。その結果、エンジンカウル上のバルジ(開口部)の数を減らしても、同レベルの冷却を実現できるようになる」
さらに両サイドに向かって空気を抽出するフロアエッジの形状にも、変更が加えられた(緑色の矢印参照)。
(第2回に続く)
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