【F1第5戦無線レビュー(1)】「パワーを失っている。3秒は遅くなった」PU関連のトラブルに悩まされたペレス

 

 2022年のF1第5戦は初開催となったマイアミGP。予選ではフェラーリがフロントロウを独占するも、決勝レースでは序盤にシャルル・ルクレールがマックス・フェルスタッペンに逆転を許した。後方では、今季初のQ3進出を果たした角田裕毅がスタート直後からペースが伸びず苦戦。マイアミGP前半を無線とともに振り返る

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 ポールシッターのシャルル・ルクレール(フェラーリ)はホールショットを決めるが、2番手カルロス・サインツ(フェラーリ)はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のスタート加速に負けて3番手に後退。そして後方では、6番手スタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)がピエール・ガスリー(アルファタウリ)、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)にかわされ8番手まで順位を落とす。さらにアロンソに抜かれる際に、マシン左リヤを軽くぶつけられている。

ハミルトン:後ろから追突された!
ピーター・ボニントン:いや、ダメージはないと思う

 それでもハミルトンは、違和感を感じている。

ハミルトン:左リヤにダメージがあるみたいだ
ボニントン:データ上は何も出ていない

 ペースに顕著な落ちはなく、ハミルトンはアロンソ、ガスリーを抜き返し、6番手に復帰した。

 9番グリッドの角田裕毅(アルファタウリ)はスタートでひとつ順位を落とし、その後もペースがまったく伸びない。ミック・シューマッハー(ハース)、ケビン・マグヌッセン(ハース)に次々に抜かれて、6周目には12番手まで後退した。

角田:何が起きてるんだ! すごく遅い!

 さらに10周目にはリカルドにも抜かれて13番手に落ち、次の周に早くもピットイン。最下位まで転落した。

角田裕毅(アルファタウリ)
2022年F1第5戦マイアミGP 角田裕毅(アルファタウリ)

 対照的に17番グリッドからスタートで3つ順位を上げ、さらに上位をうかがっていた周冠宇(アルファロメオ)だったが、突然のトラブルに見舞われる。

ヨハン・ベッカー:残念だ。マシンを止めるんだ
周:信じられないよ

 周はなんとかピットまで辿り着き、そこでリタイアとなった。一方、上位陣では、2番手フェルスタッペンに首位ルクレールのタイヤ情報が伝えられた。

ジャンピエロ・ランビアーゼ:ルクレールの右フロントにダメージが出てるぞ

 両者の差は、7周目には1秒以内に縮まった。そして9周目のターン1で、フェルスタッペンが首位に立った。フェラーリは前戦イモラに続いて、予選一発では速いものの、レースではタイヤの持ちに問題があるようだ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2022年F1第5戦マイアミGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 11周目には、サインツにこんな指示が飛んだ。

リカルド・アダミ:このスティント、できるだけ伸ばすぞ

 決勝当日は路面温度が比較的低く、路面のラバーもしっかり載ってきたこともあって、頑張れば1回ストップで行けるとサインツ陣営は踏んだようだ。

 首位を快走するフェルスタッペンも、しっかりタイヤを持たせている。

フェルスタッペン:タイヤは大丈夫だ
ランビアーゼ:いい仕事をしてる。右フロントはしっかり持ってる

 タイヤのたれに苦しんでいたルクレールだが、チームは1回ストップを決断した。

マルコス・パドロス(→ルクレール):プランDで行く。次はハードだ

 おそらくプランA〜Cがコンパウンド違いの2回ストップ作戦だったのだろう。その仮説が正しければ、1回ストップ作戦の優先順位はフェラーリ陣営ではかなり下の方だったということになる。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2022年F1第5戦マイアミGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 18周目、4番手のセルジオ・ペレス(レッドブル)がパワーユニット関連の不具合を訴えた。

ペレス:パワーがなくなっている
ヒュー・バード:見てみよう

 しかし問題は消えていないようだ。

ペレス:やっぱりパワーを失っている
バード:大丈夫だ
ペレス:そんなことない!
バード:パワーユニットに問題はないよ

 温厚なペレスも、さすがに苛立ちを隠さない。

ペレス:いや、パワーが無くなっている。よく大丈夫だなんて言えるな
バード:ストレートで(すぐ前を走るサインツの)トウを失っただけだ。それでパワーが落ちたと感じたんだ
ペレス:いや、違う。パワーを失ってるんだよ! ストレートでチェックしてくれ。3秒は遅くなってるから。エンジンがいっちゃってる

 実際、3番手サインツと1秒以内の差をキープしていたのが、19周目には一気に5秒2まで広がった。

バード:大丈夫だ。フェイル5-0だ。パワーユニットには問題はない。どうだい?
ペレス:パワーが戻ってきたみたいだ

 23周目には最速タイムを出したルクレール。しかしタイヤはそろそろ限界のようだ。

ルクレール:ドライブが、ものすごく難しい

 そしてルクレールは24周目にピットに向かい、ハードタイヤに履き替えた。フェルスタッペンは26周目まで引っ張りハードタイヤに交換し、ルクレールに7秒差をつけて、余裕でコース復帰を果たした。

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(2)に続く

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