メルセデスF1の次期代表候補を失ったウォルフ「当分は、誰かにバトンを渡すつもりはない」
メルセデスF1チームは現在困難な時期を過ごしているが、そんな時でもチーム代表トト・ウォルフのユーモアのセンスは失われていない。少なくとも自分自身をネタにジョークを飛ばす余裕はあるようだ。
長年代表としてチームの成功を実現してきたウォルフがいつの日か去る日が来たら、後任は誰が務めるのか、これまでいくつかのうわさが出てきた。4年ほど前、現在チーフテクニカルオフィサーを務めるジェームズ・アリソンが有力候補とされた時期もあったが、今のアリソンはヨットレース、アメリカズカップにおけるチームの技術責任者にも就任し、新たなチャレンジへの情熱を燃やしている。アリソンの次に、次期チーム代表候補とされたジェームズ・ボウルズは、今年ウイリアムズF1チームのチーム代表に就任した。
こういった状況から、ウォルフはしばらくは今のポジションから離れることはなさそうに思われる。自身の後継者候補を探しているか、また、近いうちに見つけられると考えているかと尋ねられたウォルフは、笑顔で次のように答えた。
「残念なことに、私よりも優れた人材を見つけられずにいる。私には以前の半分の能力しかないのにだ」
このジョークが受けたことに気をよくしたウォルフは、すぐに「これはオフレコだよ!」とさらに笑いを取りに行った。
その後、ウォルフは真面目な答えとして、次のように語った。
「状況が良いときでも悪いときでも、私はチーム代表であることをとても楽しんでいる。自分なら貢献できると思っているのだ。だがいつの日か、(辞めるという)結論に自ら達したり、親しい人たちからもう適任でないと言われたなら、他の誰かにバトンを渡すことを考えるだろう」
「そうすることを恥じることはないだろう。一線を退いてからは、テレビ画面を見て批判したり、自分の方が分かっているかのように振る舞ったりするかもしれない。でもまだ今のところは続ける意志がある」
ブラウンGPの後継として登場したメルセデスF1チームは、現在、2013年からウォルフが指揮を執り始めて以来、最大の挑戦に直面している。しかしウォルフは、彼自身とチームを待ち受けている戦いに興奮していると言い、それは偽りではなさそうだった。
「何年にもわたる成功の末に大きな方向転換をするというのは、明らかに素晴らしいチャレンジだ。ユニークな形で楽しむことができる」
ウォルフは当分今のポジションにとどまるものと考えられるが、長期的に見て、最近メルセデスの若手ドライバー育成プログラムの責任者として起用されたジェローム・ダンブロジオが将来の後任候補になるのではないかと注目を集めている。ダンブロジオは元F1ドライバーで、最近までフォーミュラEのチーム代表も務めていた。
2023年にメルセデスF1チームの一員になったダンブロジオは、ここまで毎戦グランプリの現場を訪れ、メルセデスのガレージで過ごしている。彼がメルセデスのチーム運営方法について学んでいるのは明らかであり、彼の経験を考えれば、少なくともウォルフの優れたサポート役になることができるだろう。
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