FIA、“F1日本GPのインシデント”に関し手順上の問題を特定、対策を後日公表へ。批判された事故処理法を改善か
FIA世界モータースポーツ評議会の2022年3回目の会合がロンドンの王立自動車クラブで開催され、協議内容、決定事項が発表された。そのなかで、「F1日本GPで起きたインシデント」を調査した結果「手順上の問題」が特定されたことが明らかにされた。このインシデントについて詳しく記されていないものの、決勝で事故車回収のための車両が出動するタイミングが危険だったとドライバーたちから批判された一件であると考えられる。
日本GPオープニングラップでカルロス・サインツがクラッシュ、セーフティカーが導入された。激しい雨で視界が非常に悪いなか、F1マシンがまだ走行している段階で、サインツの車両を回収するためにトラックが出動、これについて、複数のドライバーたちが非常に危険であるとして怒りを示した。ドライバーたちは前がほとんど見えない状態で走っており、濡れた路面でコントロールを失いやすかったため、クレーンにぶつかり大事故が起きる可能性があったからだ。
この件を最も強く批判していたひとりが、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)だった。
「8年前、グラベルにクレーンが出ている似たような状況で、ジュール(・ビアンキ)を失った。その8年後に似たコンディションでまた(走行中に)クレーン(が出ているの)を見ることになったのがなぜなのか、僕には理解できない。しかもグラベル上ではなく今度はレーシングライン上だった」とガスリーはレース直後に語った。
「ジュール、彼のご家族、彼の大切な人たち、僕たち全員に対する敬意がない」
「衝撃的な事件だった。あの日、僕たちは、あの時のようなコンディションで(コース上で)トラクターを見るようなことは望まないと学んだはずだ。カルロスがクラッシュしたのと同じように僕がマシンのコントロールを失って、12トンのクレーンに衝突していたら、僕は今、生きていなかっただろう」
「今ここに立っていること、今夜両親に電話することができること、大切な人たちに電話できることに心から感謝している。何も起こらなかったことにだ」
「そして、(走行中に)クレーンを目にすること、レースドライバーにとってこれほど不必要なリスクを取るようなことが、これが最後であることを、僕たちドライバーのために心から願う」
日本GP決勝日、FIAは今後の改善のために調査を開始したと発表した。
「セーフティカー出動時および赤旗中に車両を回収するのは通常の慣行であるが、(今回は)特殊な状況であり、多数のドライバーたちのフィードバックを考慮し、FIAは日本GPでの車両回収車の出動に関わる出来事について徹底的な調査を開始した」とFIAの声明には記されている。
「これはプロセスと手順を継続的に改善するために、すべてのレースインシデントの報告と分析を行うという、一般的な慣行の一部である」
国際モータースポーツ競技規則付則H項に「マーシャルまたは車両は、レースコントロールの許可なくサーキット周辺に立ち入ってはならない」と記されているように、出動の判断はレースコントロールに任されている。
19日の世界モータースポーツ評議会会合の内容について発表する声明のなかで、FIAは、「日本GPで起きたインシデント」についての調査状況について報告、手順上の問題が特定され、今後改善を行うことを明らかにした。
「レース直後に述べたとおり、FIAは鈴鹿での日本GPで起きたインシデントについて、徹底的な分析を行ってきた。手順上の問題が特定され、これは短期・中期的に修正される。調査結果は、近日中に公表される予定だ」
なお、日本GPでは、レース短縮時のポイント削減の規則についても混乱が生じ、問題点が浮上した。本来53周のレースが時間制限によって28周で打ち切られたにもかかわらず、フルポイントが与えられたのだ。レギュレーションにおいて付与されるポイント削減の条件に「レースが中断され、再開できなかった場合」と記されていたためであり、これはレギュレーション上の不備であると考えられている。
19日の世界モータースポーツ評議会会合に関しては、F1レギュレーションにおいて安全性に関する向上がなされたとの発表も行われた。2023年には視界改善のためにミラーを大型化すること、イギリスGPでの周冠宇のクラッシュを受けて行われるロールフープ規則をさらに改善したことなどが挙げられている。
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