フェラーリ代表、レース終盤のタイヤ戦略を擁護「2台をストップさせるための十分なギャップがなかった」/F1第10戦
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、F1第10戦イギリスGPの決勝レース終盤のピットストップに関して、適切な戦略を採ったと考えている。
52周のレースの序盤からルクレールは上位を走行し、最終ステージに入る頃にはチームメイトのカルロス・サインツとメルセデスのルイス・ハミルトンがルクレールの後ろを走行していた。しかし残り13周のところで導入されたセーフティカーが、フェラーリ陣営による奇妙な決断の引き金となった。フェラーリのストラテジストはサインツのみをピットストップさせて新品のソフトタイヤを履かせ、ルクレールをハードタイヤのまま先頭でステイアウトさせたのだ。
ルクレールにとっては残念なことだが、この戦略はサインツにとってはすぐに有利となり、彼はレースのリスタートで素早くルクレールを追い抜くと、F1での初勝利を勝ち獲った。
ルクレールは、レッドブルのセルジオ・ペレスとハミルトンのふたりをかわすために全力を尽くしたが、最終的に4位でチェッカーフラッグを受けた。
「今はコメントしたくない。何が原因だったのか、チームと全体的な見直しをして議論をしたい」とルクレールはセーフティカー導入中に彼を呼び戻さなかったフェラーリの判断に言及した。
「間違いなく僕はレースの序盤でとても速かったと個人的には感じていた。その後少しタイムを失った。それが最終結果を変えたのか否かについては、僕は変わったとは思わない。でも今後のためにすべてをチェックする必要がある」
レース後のメディア取材でビノットは、ルクレールではなくサインツを呼び戻したフェラーリの戦略の真相について話をした。
「もちろん我々の捉え方ではあるが、2台のマシンの間隔が近すぎて両方を止めることができなかったため、決断を下さなければならなかったという次第だ」とビノットは語った。
「我々だけが、2台のマシンが上位のポジションを争う状況だった。他のチームは1台だけだったので、判断ははるかに簡単だったはずだ」
「我々の場合、2台のマシン両方をピットストップさせるための十分なギャップがなかった。それでは2台目のマシンがピットストップによってタイムを失い、コース上での順位を落とすことになるからだ」
ではなぜフェラーリはレースをリードしていたルクレールではなく、サインツをピットストップさせることにしたのか?
「なぜならシャルルはトラックポジションを得ていた。彼は首位にいたので、そのままレースリーダーとして留まっただろう。彼のタイヤはカルロスよりも新しかった。カルロスより6、7周新しいタイヤで良い状態にあったと思う」
「カルロスはピットストップをして2番手になることで、少なくとも最初の数コーナーで防御することができただろう。我々はハードでスタートすると、少々難しくなることは分かっていた。それが我々の判断の理由だ」
「そして我々はソフトタイヤにもっとデグラデーションが出ると予期していた。シャルルは初めの3周か4周の間苦戦するかもしれなかったが、その後で挽回するかもしれなかった。しかしソフトタイヤは予期していたほどには劣化しなかった」
ビノットは、全体的にフェラーリがレースで適切な戦略を採ったと感じている。しかし、ルクレールをピットストップさせなかった判断には疑問の余地があるかもしれないとビノットは認めた。
「彼はポジションを挽回しただろうか? 私は確信が持てない」とビノットは認めた。「後から考えて違うやり方ができたと言うのは、常に簡単なことだと思う」
「またしてもセーフティカーがまずいタイミングで導入された。我々が余裕を持ってレースをリードしていた時点でだ」
ビノットはレース直後にルクレールと話し込むところを見られていたが、ルクレールの落胆と苛立ちは完全に理解できると最後に語った。
「彼が落胆し苛立っているのは分かっていたし、それは理解できることだ。彼はレースを余裕でリードしていたのだから」
「セーフティカー導入時に彼は非常に速く走行していた。彼にとって今日はチャンピオンシップにおける最高のチャンスだった。なぜならマックス(・フェルスタッペン)がいくつか問題を抱えているなかで首位を走っていたからだ」
「そしてセーフティカーとなり、レースの難しい終わりを迎えた。彼ががっかしりたのは間違いない。だから私は彼に会った。彼が落胆していることは分かっていた」
「だが私が彼に言ったのは、彼がまたしても素晴らしいレースをしたということだ。レースのファーストラップでは素晴らしく、戦っていた。セーフティカー後のリスタートからの彼のドライビングとポジションの防御は驚異的でずば抜けていた」
「だから私は彼にただ冷静になるように伝えた。彼のドライビングは素晴らしかったからだ。彼は今日もまた不運だったのだ」
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